金曜日、浦東の東方藝術中心で「香港小交響楽団(Hong Kong Sinfonietta)」*1のストラヴィンスキーA Soldier’s Tale(『士兵的故事』)を観る。上海万博の「香港文化週」のクロージング・プログラム。
第一部は先ず方暁佳(Fong Hiu-kai Johnny)のクラリネット・ソロで”Three Pieces for Clarinet Solo”。これは『兵士の物語』が初演された時にスポンサーとなったアマチュア・クラリネット奏者Werner Reinhartのために書かれたもの。続いて、フル・オーケストラでバレエ音楽のJeu de Cartes。舞台の片隅でダンサーの陳敏児(Abby Chan)がソリティアをするパフォーマンスをしていたのが可笑しかった。休憩を挟んで、いよいよ『兵士の物語』。ヴァイオリンを悪魔にとられてしまった兵士がそれを取り戻そうとあれこれ冒険をするのだけれど、最終的には悪魔が勝利して、魂を盗られてしまうという物語。マンダリンの台本は邁克(Michael Lam)。設定を現代のビジネス世界に置き換えているので、語り手もダンサーたちも軍服ではなくビジネス・スーツを着て語り・踊る。語り手は舞台俳優でロック・ミュージシャンでもある朱栢謙(Chu Pak-him)。ダンサーは日本人の白井剛、マレーシア人の劉杰仁(Jay Jen Loo)、北京人の黄磊、それから香港人の陳敏児。振付けは伍宇烈(Yuri Ng)。特に白井剛の動きが素晴らしかった。3人の男性ダンサーの中では最もイケメンだったし。また、振り付けでいうと、最後にヴァイオリニストのJames Cuddefordが空のヴァイオリン・ケースを抱えて立つ白井剛に歩み寄り、ヴァイオリンを手渡す動作をしながら握手をするという演出が面白かったのだ。以前高橋悠治編曲の『兵士の物語』を観たのは何時頃だったか思い出せない。そのときはいちばん最後に高橋悠治によるピアノ・ソロがあったのだ。
さて、全体を通して香港小交響楽団を指揮していたのは葉咏詩(Yip Wing-sie)。多分私が知らないだけなのだろうけど、クラシックの世界で女性の指揮者というのは珍しいのでは? また、香港小交響楽団のメンバー表を見て驚いたのは日本人のメンバーが多いこと。しかし、これも私の無知故に海外の他の楽団と比較することはできない。