- 作者: 金井美恵子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/07/07
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 21回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
金井美恵子『目白雑録2』*1からメモ。
所謂「団塊の世代」を巡って;
(前略)〈若者文化〉とやらを担ったつもりになっているが、それをカウンター・カルチャーと普通の言い方に変えれば、常識的にはアメリカの50年代にはじまる。ヒッピームーヴメントの前にビート世代があり、アクション・ペインティングをはじめとしたアメリカの現代美術のムーヴメントがあり、『イージー・ライダー』の前に、マーロン・ブランドの『乱暴者』があり、ジーパンとTシャツと赤いジャンパーのティーンエイジャー・スタイルをジェームス・ディーンが世界中に広め、20代のほぼ素人のシネフィルたちが映画を撮ってヌーヴェル・ヴァーグと呼ばれ、プレスリーは激しく腰を振り、日劇のロカビリー大会は社会現象だったのではないか、ビートルズが出て来るのはその後で、〈団塊〉が自分のことをビートルズ世代などと言うのは、洋楽や映画や文化に対して相当なオクテだった連中としか思えない。オクテな連中の方が多かったといえばそれまでだが、〈団塊世代というとビートルズ世代だと思われている。本人たちまで錯覚しているが、’63年(ビートルズが世界を席巻する前の年。引用者注)まで私たちが夢中になっていたのは、甘くて切ない、ビートルズ出現で一夜にして懐メロになった、悲しいポップスだった〉(十月十六日朝日新聞 亀和田武「マガジンウォッチ」(略))のであり、〈「オレたちビートルズで育った世代はさあ」という団塊オヤジの話は、眉にツバして聞いてくれ。〉というのは正しいのだが、眉にツバを付けるまでもなく、このオヤジたちはオクテだったか、記憶力が物凄く粗悪なのだ。私たちが小学生の頃、座敷ボーキやテニスのラケットをギターに見たてて真似た洋楽は断じてプレスリーにはじまる、と言っても、ほとんどの〈団塊〉にはこうした体験は説得力に欠けるのかもしれない。先に引用した三人*2が三人とも〈団塊世代〉を、まるで不意に〈若者文化〉や学生運動の〈青春〉からはじまったように書くことで〈団塊〉のジャーナリズム的イメージを奇妙に共有してしまうのだが、亀和田はビートルズ以前の中高生時代のポップス体験を記憶喪失していないのである。(「うつうつ日和1」、pp.202-204)
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2006/12/20
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2005/12/23
- メディア: DVD
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
と言っているけれど*4。
十年くらい前かな。中学校の同窓会に行ったら、同級生の一人が、すました顔で「俺たちビートルズ世代は」なんていい出すんで、あれには驚いた。「ウソつけ。お前あの頃、いつも橋幸夫と舟木一夫ばっかり歌ってたじゃないか」(笑)。(山口文憲、亀和田武「団塊の辞書に”反省”はない!?」『本の話』131、2006、p.10)