「グリーンランドの古代人」

10日くらい前の記事を今頃になって知る。
『読売』の記事;


グリーンランドの古代人はアジア出身?…髪を分析


 デンマークなどの国際研究チームが、グリーンランド西部の永久凍土で見つかった約4000年前の男性の髪を分析、ゲノム(全遺伝情報)の大部分を解読することに成功した。

 古代人の遺伝情報を解読したのは初めてで、男性の祖先が、アジア大陸から渡ってきた可能性の高いことがわかった。11日付の英科学誌ネイチャーに発表する。

 チームが解読したのは、発見された毛髪のゲノムの79%。アジアやアメリカなど35地域の住民の遺伝子と比較したところ、ロシア極東地域などに住むアジア系の人々と最も似ていることが判明した。

 男性の祖先は、陸続きだったアメリカ大陸へ渡り、グリーンランドに移住したらしい。考古学研究の証拠も合わせると、移住は5500年前頃にあったとみられるという。
(2010年2月11日09時35分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100211-OYT1T00150.htm

この記事を読んで、あまり驚かなかった。グリーンランドには4000年前からイヌイットが住んでいたということでは? グリーンランドはアラスカよりもエスキモー*1の人口が多い場所なのだ。この研究では、現にグリーンランドに住んでいる人たちは比較されたのだろうか。また、「ロシア極東地域などに住むアジア系の人々」というのはエスキモー、それともツングース系の人々? 元々アラスカというのは米国が露西亜から買った土地であり、露西亜にとってはシベリアの延長と考えられていたわけだ。また、エスキモーにとっても、米蘇の緊張関係が強まる以前は、アラスカとシベリアの間でけっこう自由な往来があったという話も聞いている。

*1:エスキモーというのは総称で、主にアラスカ中部よりも西に住んでいる人たちをイヌイットと呼び、それよりも東に住んでいる人たちをユピックと呼ぶのが一般的であろう。イヌイットを自称しているのは主にカナダ領内に住んでいる人たち。アラスカではエスキモーが公式な民族名称である。