民主党が温室効果ガスの対1990年比25%削減を打ち出したということだが、いざとなれば鳩山幸夫人が「太陽をぱくぱく」*1すればOKというのは嘘。というか、これを聞いたとき、環境政策の名を借りた産業政策或いは経済成長政策なのではないかと思ったのだ。高いハードルを設定して、環境関連の技術革新を一気に加速させ、高付加価値の商品を開発してゆくこと。しかし、(本来は美味しい話である筈なのに)経団連は懐疑的で、さらに民主党の支持基盤のひとつである労働組合も(資本家と一緒になって)これに対して懐疑的なスタンスを示しているという。多分、こうした態度は後には税金をまけろとか補助金をよこせという条件闘争になっていくのでは? 福島瑞穂さんは「消費者行政、少子化、食品安全、男女共同参画の各担当相」に内定したらしいが*2、一時は環境大臣になると言われていて、それについて、『毎日新聞』が社民党は脱原発を唱えているので、温室効果ガス削減と矛盾するのではないかと書いていたので、おいおいと思ってしまった。エネルギー政策は環境省ではなく経済産業省の管轄なので、社民党の環境大臣だからといって、原発が止まってしまうということはない。ただ、脱原発派が環境大臣になれば原発への規制や監視が厳しくなるので、却って原発の安全な運転に貢献してしまうということはあり得る。また真に問題なのは、エネルギーの供給と分配の体制を集権的・独占的な〈ハード・エネルギー・パス〉から(30年以上前にエイモリー・ロビンスが唱えた)分権的で小回りの利く〈ソフト・エネルギー・パス〉へと転換する道筋を呈示すべきなのに、社民党も民主党もまだはっきりと明示していないということだろう。
さて、天野礼子さんが書いている;
また、「鳩山さんの「ダム中止」は、彼が2000年に私に依頼して「公共事業を国民の手に取り戻す委員会」を代表の特別諮問機関として発足させた時からの路線で、2000年11月1日に、この委員会が作った報告書「緑のダム構想」を持参して川辺川現地入りをされた時に始まっています」ということで、天野さんの『ダムと日本』にはその経緯が描かれていたが、この本では天野さんと亀井静香との絡みも面白かった。
オバマ政権と民主党の今のところの違いは、日本の民主党はまだ従来の公共事業に代わる「グリーン・ニューディール(緑のたて直し策)」を提案できていないことです。
「ダム中止」では予算が減額するだけですが、「ダム撤去」なら、新たな公共事業が発生します。それがグリーン・ニューディールです。そしてその工事代金がどこから捻出できるかが問題でしょう。社民党の福島党首は「軍事費の削減」に目をつけておられます。これも巨額です。アメリカの傘の下にいるのに今ほどの軍備をしているのは「アメリカに買わされているだけ」とも見えます。「グリーン・ニューディール」で、経済をまわしてゆく策を考えることが、日本民主党の急がれる仕事と思います。
私自身は、「軍事費を減額すれば、いろいろなことに使えるのに・・・」と思っている一人です。
http://www.the-journal.jp/contents/amano/2009/09/post_86.html
- 作者: 天野礼子
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温室効果ガス削減の技術的・産業的問題については、http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090911/1252680391をマークしておく。