「順序」?


民主党最低賃金を時給1000円にする案を打ち出しているそうだが、これは激しく疑問だ。人件費を抑えてかろうじて持ちこたえてきた企業はそのままクソ真面目に守ると潰れるだろうし、時給1000円以下でも働きたい人はいくらでもいるのにその人たちの仕事が奪われ失業率が増加する。そして現実的に一番考えられるのはサービス残業無給労働の更なる拡大でごまかそうとするインセンティブの発生だろう。労働のアングラ化がますます進むだけじゃないだろうか。まず不況を克服して経済成長を担保し総需要を拡大させないことには話にならない。順序を間違っているとしか思えない。企業に補助金を出すとか言ってるそうだが、今度はそれが新たな不正の発生源になるかも知れず、個人に直接給付した方がマシじゃないだろうか?などと思ったりする。
http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20090712/1247359572
マルクス主義者なら、これを総資本と個別資本の矛盾とか言ったりするのかしら。
「順序を間違っているとしか思えない」というよりも、こうした議論というのはどうも変な循環に陥ってしまうのではないか。「まず不況を克服して経済成長を担保し総需要を拡大さ」せる。It’s OK! 「総需要を拡大」するためには(外需を一先ず考えから外せば)、各家計の消費を拡大しなければならない。そして、消費者とは同時に労働者である*1。消費者である労働者の収入が多いほどそれが貯蓄などではなくて消費に回される可能性は高くなるといえるだろう。つまり、「最低賃金」の引き上げは「総需要を拡大」する可能性を高めるといえる。ただ、それが上で指摘されているような帰結を生む可能性も否定できない。重要なのは、「最低賃金」の引き上げ以外の仕方で労働者=消費者の可処分所得を増やす途を呈示することなのであろう。