大沢真理「格差広げる所得再分配」http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/253324
一瞬吃驚。凄いタイトルなので。社会保障のような「所得再分配」*1政策を下手にやると却って「格差」は広がるって、どっかの新自由主義者が言ってそうじゃん。本文を読むと、主張はその正反対なのがわかる。「所得再分配」が機能しないのは「高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制」のせい。
曰く、
もう一つ、本来は高所得層から税や社会保険料を取り、年金や手当、生活保護などの社会保障給付で低所得層に還元する「所得再分配」が、逆に貧困の拡大を招いている現実がある。政府による所得再分配の前と後で、貧困率がどれくらい下がったかを示す「貧困削減率」という指標がある。経済協力開発機構(OECD)の09年の分析では、各国は再分配後に貧困率を20〜80%削減しているが、日本だけが唯一、共働き世帯やひとり親世帯で、貧困率を8%増加させていた。
所得再分配が正常に機能していないのは、高所得層に優しく、低所得層に厳しい税制が大きな原因だ。80年代は70%だった所得税の最高税率を40%前後まで下げた。90年代後半から法人税も繰り返し下げ、年間10兆〜20兆円規模の税収を放棄する一方で、消費税や社会保険料の引き上げで低所得者に負担を強いてきた。日本はOECD諸国の中で、税の累進性が最低レベルだ。
こうして見ると、子どもの貧困は政府がつくり出してきたと言える。
正規、非正規労働者の賃金格差をなくすため、「同一価値労働同一賃金」の原則を徹底し、最低賃金を上げる。配偶者控除のような高所得層を優遇する制度は撤廃する。所得税の最高税率を引き上げる。子どもの貧困を解決するため、政府が取るべきはこうした政策だ。