小野に関する噂(続き)

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100612/1276361557に関連して、http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/e234f3f93c38f9efa26c2d1179331ea5を見つける。ただ、http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20100612/1276334132とかと読み比べると、その主張の主要な部分は的外れであるように思える。
さて、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100612/1276361557へのコメントから;


rna*1 2010/06/13 12:28
リンク先の小野氏のインタビュー読むまで勘違いしてました。小野氏の主張って消費税云々じゃなくて、政府が税金で(福祉ではなくて!)「新しい価値生む分野」に投資して雇用創出って話なんですね。
。。。ダメでしょそれ。この点は池田氏の天敵であるリフレ派もダメって言ってます。役人に民間よりよい投資先を見つける能力は通常ない、高度成長期に政府の産業政策が果たした役割は過大評価されている、とのこと。実証研究もあるとか。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100612/1276361557#c1276399695

akira*2 2010/06/16 02:53
私が小野善康氏の著書を読んだ理解は以下のようなものです。不況時には公共投資を増やし、好況時に減らすことで、労働資源の浪費を回避するという視点です。不況時に余った労働力を放置しても結局、社会保障でお金だけが必要になる。ならその費用で何でもいいからさせた方がよいということ。そして好況時に人手不足になれば、公共投資を減らして民間との労働資源の取り合いを回避する。氏の著書を読む限りそのように理解しています。好況時の産業政策が非効率であったことと、不況時の労働資源の有効利用は必ずしも対立しないのではないでしょうか?
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100612/1276361557#c1276624417
私も昔小野さんの『景気と経済政策』*3を読んだときの感想ではakiraさんの「理解」に近い。なので、『産経』のインタヴュー*4を読んだときは、小野さんちょっと踏み込みすぎてるんじゃないの? とも思った。それで、rnaさんの「役人に民間よりよい投資先を見つける能力は通常ない」ということだけど、たしかに「通常」はそうでしょ。ただ、実際に「民間」が「よい投資先を見つける」ことができていないからこそ、デフレ不況なんだということになる。だから、どうせ生産諸力が遊休化してだぶついているのだから、ダメモトで政府が投資するという論理も成立するのではないか。問題は、〈武士の商法〉が失敗するリスクと生産諸力が遊休化したまま維持費のみを食い続けていくコストとどちらが大きいのかということになる。小野さんの側からの反論は、政府による投資が駄目だったら自分で「よい投資先を見つけ」てみろよ<「民間」ということになるのだろう。何故見つけられないのかといえば、多分(社会心理の問題としての)動物魂の問題*5と関係があるように思えるが、あまり詳しく論じる余裕はない。
景気と経済政策 (岩波新書)

景気と経済政策 (岩波新書)

さて、殆ど的外れといってしまったhttp://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/e234f3f93c38f9efa26c2d1179331ea5であるが、消費税増税が景気恢復に対して逆機能的であるというのは同感。勿論、消費税を実際に上げるのではなく、近々上がるぞという予期を誘導すれば、上がる前に買っちゃえという駆け込み的な需要が誘発されるだろうということはあるけれど。消費税率とか直接税・間接税の比率の問題は全く別の文脈で議論されるべきトピックなのでは? それから、法人税率を高めることは景気恢復に対して機能的な面があると思うのだが、どうだろうか。つまり、どうせ取られるなら内部に留保するよりも使ってしまえということを動機付ける。ただ、金融危機以降、レヴァレッジ取引そのものに対する懐疑や批判が強まっているが、それは企業に対しては内部留保を強く動機付け、法人税率引き下げへの圧力を強化してしまっているということはあるのだろうが。