西原和久『聞きまくり社会学』

聞きまくり社会学―「現象学的社会学」って何? (ist books)

聞きまくり社会学―「現象学的社会学」って何? (ist books)

西原和久、岡敦『聞きまくり社会学 「現象学的社会学」って何?』(新泉社、2006)を最近読んだ。


はじめに


I 社会学の話を聞く
1 社会学とは何か
2 現代社会学の出発点


II 現象学の話を聞く
1 現象学の第一歩
2 現象学とは何か
3 現象学の後継者たち


III 現象学的社会学の話を聞く
1 現象学的社会学とは何か
2 シュッツをどう捉えるか
3 シュッツからの展開


IV グローバル化時代の現象学的社会学

多分詳しくは先生の『意味の社会学』や『自己と社会』を参照すべきであろうが、現象学現象学的社会学)の展開を「意識経験の文脈」、「危機認識の文脈」、「意味生成の文脈」に腑分けすることなど、西原流現象学的社会学のエッセンスが明瞭簡潔に語られていると思った。また、「ぼくは、あえて主観主義者シュッツ像ではなく、発生論的相互行為に基づく間主観主義者シュッツ像を前面に出したのです」(p.133)。この「あえて」について諒解した。さらに、

現象学的社会学の話をしてくるなかで、間主観性、インターサブジェクティビティの話をしましたが、間主観性論は、そもそもは、他者理解について考えることが出発点でした。ですから、主体と主体の新しい結びつきを考える際も、あるいは「外国人」という「他者について考える際にも、現象学的社会学間主観性論は、きわめて有効だとぼくは思っています。
スローガン的に言えば、「インターナショナルからインターサブジェクティブなあり方へ」。そのような方向で考えていくべきはないかと思うわけです。多様なサブジェクトとサブジェクトのあり方を、間主観性論によって。もう一回捉え直したい。インターナショナルじゃなくて、インターサブジェクティブな関係を問い直すと同時に実践をおこなっていきたい。それをぼくは、「国際」(inter-national)関係から「人際」(inter-subjective)関係へと表現しています。(p.150)
という一節を若干の疑問符込みで引用しておく。
意味の社会学―現象学的社会学の冒険 (武蔵大学研究叢書人文叢書)

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自己と社会―現象学の社会理論と「発生社会学」

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