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『毎日』の記事;


靖国神社朝鮮戦争で殉職海保職員の「合祀」拒否 

 朝鮮戦争で掃海作業中に殉職した元海上保安庁職員の遺族が、靖国神社に「戦死者」として合祀(ごうし)するよう求めたのに対し、同神社が拒否していたことが分かった。神社は遺族への回答書で、合祀範囲を「大東亜戦争まで。朝鮮戦争は基準外」と明示した。
 遺族は、大阪市浪速区の会社役員、中谷藤市さん(79)。1950年10月、弟の坂太郎さん(当時21歳)が米軍の極秘要請を受け、掃海艇で北朝鮮の元山(ウォンサン)沖に出動。機雷に触れて死亡した。事故後、米軍と海保は「瀬戸内海での作業中に殉職したことにしてほしい」と求めたという。現行憲法に抵触する疑いが濃いためで、中谷さんは事故記録を照会したが、「記録はない」と回答された。
 その後、除籍謄本に海保の報告として死亡日時と場所が記載されていることが分かり、中谷さんは今年2月、靖国神社に合祀を求める申請書を提出。8月25日付の神社の回答書では「その時代ごとの基準で国が戦没者と認め、名前が判明した方をお祀(まつ)りしてきた。朝鮮戦争は現在のところ基準外となるから、合祀できない」と結論付けていた。
 中谷さんは「弟は戦死したのだから祀られて当然。合祀を願い続けてきた。義憤を禁じえない。再考してほしい」と、要請を続ける考えだ。【田辺一城】
毎日新聞) - 9月3日21時0分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060903-00000055-mai-soci

左翼的な観点からあれこれと論うことは当然可能だろう。しかし、この中谷さんにとっては、自分の弟の生死が日米の国家権力によって歴史から抹消されてしまい、弟の生死を歴史に刻む唯一の機会と思えたのが靖国神社への「合祀」だったわけだ。歴史から抹消された戦闘といえば、最近『蟻の兵隊』という映画が話題になっているらしい、中国山西省におけるあの戦闘もそうだろう。社会学者の中野卓先生はその生き残りである。
なお、現在・将来の〈靖国合祀〉問題については、http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20060825/1156477427が興味深い。