地中海人なんだ、その他

ジダン問題を巡って、kmizusawaさん*1曰く、


「こういうことを言ったらしい」といろいろな説が出回っているが、言ったらしい中身をそのまま報道することが別の種類のいやらしさを生んでいるのではないか。例えばジダンのお母さんやお姉さんに対する(マテラッツィが言ったとされる)「暴言」の内容をあちこちで見かけたが、なんかメディアは怒る振りしてああいった侮蔑表現を流して面白がってるんではないかという気さえしてくる。
たしかに、これは〈差別〉に言及する際のディレンマ。〈差別〉を告発するためには、その実際の具体的有様を言及しなければならないが、そのことによって〈差別〉(的言辞)が再生産されてしまう。形式的にいえば、実際の場面においては、useとmentionの区別というのは原理的に決定不能であるということか。
ところで、

FIFAは人種差別について厳しい態度で臨む姿勢を打ち出しているようだが、もしもマテラッツィの「暴言」がそういう類のことだった場合、制裁措置としてマテラッツィ選手へのそれはあるとして、イタリアの優勝取り消しとかもあり得るのでしょうか。私はイタリア応援してたので優勝して嬉しいけど、そこまでやったらある意味FIFAを尊敬するぞ。
というのは、〈高校野球〉的論理に似てない?
さて、

ジダン>息子をほめたたえたい…ジダン選手の母語
2006年7月13日(木) 11時34分 毎日新聞

 【ローマ海保真人】英大衆紙「デーリー・ミラー」によると、ジダン選手の母マリカさんは友人に「息子(ジダン選手)が家族の名誉を守ったことをほめたたえたい」と語った。イタリア各紙もマリカさんの言葉を転載した。
 マリカさんは一連の出来事を聞き「本当にむかついている」と言い、「W杯の決勝であろうとも、ひどい侮辱に甘んじてはならない。家族一同、(ジダン選手の)選手生活がレッドカードで終わったことを深く悲しんでいるが、彼は少なくとも名誉を守った。サッカーより大事なことはある」と話した。
 さらにイタリアのマテラッツィ選手に対し「軽べつの気持ちしかない。彼が言ったことが事実ならば、ひどい目にあわせてやりたい」と語ったという。
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20060713&a=20060713-00000038-mai-spo

というのを読むと*2、やっぱり地中海の人なんだと思ってしまう。伊太利と仏蘭西、基督教徒とムスリムという差異を超えて、今回の件は地中海人同士の争いでもある。