因か果か

市川衛*1「セックスで女性ホルモンは増える?ガチで検証した論文を読んでみた」http://blogos.com/article/304747/


「性行為をすると、女性ホルモンがたくさん出てキレイになれる!」という言説は真実か。
米国国立衛生研究所の研究グループによる


Ankita Prasad, Sunni L. Mumford, Germaine M. Buck Louis, Katherine A. Ahrens, Lindsey A. Sjaarda, Karen C. Schliep, Neil J. Perkins, Kerri A. Kissell, Jean Wactawski-Wende, and Enrique F. Schisterman “Sexual activity, endogenous reproductive hormones and ovulation in premenopausal women” https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4127088/


という2014年に発表された論文を読解。
性行為を経験した女性は処女よりも女性ホルモン(エストロゲン)の濃度が高い。
性行為をした日の女性ホルモン濃度は高い。
しかし、性行為の頻度と女性ホルモン濃度の関係はない。セックスをすると女性ホルモン濃度が高くなるのではなくて、女性ホルモン濃度が高くなるとセックスが行なわれる可能性が高くなると考えた方がいい。また、「月経周期の中で、女性ホルモン(エストロゲン)は排卵日に向けて増え」、「この調査に参加した人は妊娠を希望していたわけではないのですが、実際に排卵日に向けて性行為の回数が増えていました」。

「穴」は残った

国枝拓「旧石器人の「謎の穴」から見えるのは?」https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0615.html


神奈川県横須賀市旧石器時代遺跡(3万年前)「船久保遺跡」で発見された人工の「穴」について。


この遺跡は、道路建設の際に小さな石器が発見されたことをきっかけに、5年前から発掘調査が行われている。穴は、地表面を数メートル掘り下げた3万年前の層に、くっきりと口を開けていた。土器はまだなく、当時の人々は主に石器を道具として、槍などで獲物を狩り、木の実を集めて暮らしていた。

穴は1メートル×50センチの長方形で、深さは2メートルほど。現代の成人男性がまるまる収まってしまうほどの大きさだ。四隅は見事なエッジが効いていて、輪郭を丹念にそぎ落としたように見える。意図的に作られた人工物であることが一目でわかった。

しかも、1つだけではない。調査した範囲だけでも13基あって、100メートルにわたって等間隔に並んでいることがわかったのだ。まるで巨大な柵か、頑丈な建物の柱を埋めた跡が連なっているようにも見えるが、3万年前にそんなものが作られていたとは考えにくい。

発掘作業を担っている「玉川文化財研究所」では、鹿を狩るための「落とし穴」ではないかと推測している。このような「落とし穴」は後の縄文時代の遺跡からも発見されている。

佐藤さん*1によると、この時期に作られたまとまった形の落とし穴は、鹿児島県の種子島静岡県三島市沼津市、そしてこの三浦半島でしか見つかっていない。

3万年前は氷河期にあたり、平均気温が今よりも10度近く低いとされているが、これらの地域は黒潮の影響で比較的暖かく、食料となる植物が豊かだったと考えられるという。
木の実などの食べ物が安定して採れれば、その場所に一時的にでも住みつくことができ、落とし穴を掘って獲物がかかるのを待つだけの時間的なゆとりができる。

また、佐藤さんは、今回見つかったような大がかりな落とし穴を作るには大勢の人手が必要で、指揮する人の存在が必要だったとも推測する。


「これだけの大規模な落とし穴を作る場合は、一時的にでも100人規模の集団を作らなければいけないと思います。しかも落とし穴ですから、一定の期間を一緒に過ごさなければいけない。旧石器時代の段階にしては、人口密度が高かったのではないか。今回の発掘によって、当時の社会も少しイメージが変わるんじゃないかなと思っています」
これと似たような「落とし穴」が縄文時代の遺跡から発見されているということだが、気になったのは、「旧石器人」と(新石器人たる)縄文人との関係。管見の限りでは、旧石器人と縄文人の関係は遠いという研究と、近いという研究が出ているのだった*2

庇ってもらえず

承前*1

NHKの報道;


レスリン至学館大学が栄監督を解任へ
2018年6月17日 20時15分


レスリングの伊調馨選手などに対してパワーハラスメントを行っていたと認定された日本レスリング協会栄和人常務理事について、愛知県にある至学館大学谷岡郁子学長は、大学の部の監督を解任することを明らかにしました。

日本レスリング協会の栄常務理事は伊調選手などにパワハラを行っていたと認定され、レスリング協会が常務理事の役職を解任する方針を決めています。

栄常務理事はこの問題が発覚した直後のことし3月以降、公の場に姿を見せていませんでしたが、今月14日、パワハラについて謝罪し、至学館大学レスリング部の監督については「選手が望むのであれば、どういう形で携わるのがいいかをゆっくり考えたい」などと述べていました。

至学館大学の谷岡学長は17日、都内で会見し「3日前の栄監督の謝罪やその後の対応を見たが、期待外れで反省ができてない」と批判し、監督を解任する方針を明らかにしました。

谷岡学長は、今月14日から始まった全日本選抜選手権での栄監督について「選手のセコンドにつこうとしないだけでなく、観客席で応援すると言いながらも友人と昼食を取りに行った」などと反省の態度が見られないと説明しました。

谷岡学長によりますと、栄監督の解任については、18日、大学で幹部が集まって会議を開き、正式に決めるとしています。

谷岡学長は後任の監督について、卒業生の吉田沙保里選手に要請する可能性があるかという質問に対し、「ありうるし、ほかの人もありうる」と述べました。

また、「二度とこうしたことが起こらないよう、選手、コーチと話し合っていく。選手第1のチーム作りをして必ず東京オリンピックに間に合わせたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180617/k10011481681000.html

栄氏の「解任」よりも、吃驚したのは谷岡郁子学長の態度が豹変していること。

天使のように大胆に?

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180607/1528343126に対して、


nessko*1 2018/06/08 01:43

設定だけ見ると、異世界というだけあってファンタジーというかゲームというか北斗の拳というか、まさかこれで怒られるとは書いた方は想定もしてなさそうですね。
過去のウヨツイート発覚も、過去のAV出演がばれたのと似た感じがして。

情報が錯綜していてよくわかりませんが、アニメやラノベにとって中国市場は大きいんだなと。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180607/1528343126#c1528389839

「過去のAV出演がばれた」といえば、今まさに旬である「ドン・ファン*2の妻;


紀州ドン・ファン怪死「22歳幼妻」がセクシービデオに」http://blogos.com/article/304263/


「捜査関係者」のリークだという。
さて、「22歳幼妻」はやはり人を引き付ける力があるようだ。坂上忍*3によるインタヴューに関する記事を幾つか読んだ。
『スポーツ報知』の記事;


紀州ドン・ファン”55歳年下妻、遺体発見時の状況明かす「全裸」「不気味」
2018年6月15日13時12分 スポーツ報知


 15日放送のフジテレビ「バイキング」(月〜金曜・前11時55分)では、急性覚醒剤中毒で亡くなった和歌山・田辺市酒類販売会社社長で資産家として知られる野崎幸助さん(享年77)の妻への独占インタビューを放送した。

 55歳下の妻がテレビのインタビューに応じるのは初めてで、聞き手の坂上忍(51)に対し「覚醒剤が出るなんてこともビックリですし、こんな大きな事件になると思ってなくって」と戸惑いを吐露。亡くなった5月24日の午前中は野崎氏を裁判所に送るなど行動を共にしていたとし、午後7時半頃に帰宅した家政婦とテレビを見ていたところ、野崎氏の部屋がある2階から「ドンドン」という物音が聞こえたと振り返った。

 「ドンドンは毎日聞こえる音で日常茶飯事だったので、トイレに行ったんだなとか気に留めなかった」といい、午後10時半に2階に上がると「全裸で。ソファにもたれかかって倒れていて」と告白。「まだ起きてたの?」と声をかけたが、無反応で動かない状態だったため、「不気味」だと思い、家政婦を呼んで119番通報したという。救急隊からのアドバイスで社長を横にするなどしたが「足とか上げたんですけど、固まってて。硬直してて」と振り返った。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20180615-OHT1T50114.html


紀州ドン・ファン”55歳年下妻が激白 夫は「自殺もなくはない」

2018年6月15日 13時2分 スポーツ報知


 15日放送のフジテレビ「バイキング」(月〜金曜・前11時55分)では、急性覚醒剤中毒で亡くなった和歌山・田辺市酒類販売会社社長で資産家として知られる野崎幸助さん(享年77)の妻への独占インタビューを放送した。

 55歳下の妻がテレビのインタビューに応じるのは初めて。聞き手の坂上忍(51)から野崎氏の死因についてどう思っているか問われると「自殺も私はなくはないと思ってて」といい、「でも他殺で考えるんだったら、社長は結構恨みを買ってるというか。過去に刺されたりとか、金融業関係でもめてたりとかもあったので。恨みをかってるだろうなと思ってて」と心中を告白した。

 「家に誰でも出入りできるというのもあって。私がいないときは結構、社長のほかの女の人が何人も出入りしてて、私も東京から帰ってきたときに、今日から家政婦ですって知らない女の人がいたりとか」と明かし、結婚後も女性の影があったか聞かれると「ずっとありました」と語った。
http://news.livedoor.com/article/detail/14868594/

『デイリースポーツ』の記事;

ドン・ファン妻、入籍条件明かす 「遺産目当てと言われるが経済面も社長の魅力」

2018年6月15日 13時42分 デイリースポーツ


 紀州ドン・ファンと呼ばれた酒類販売会社社長の野崎幸助氏が不審死を遂げた事件で、野崎氏の22歳の妻が15日、フジテレビ系「バイキング」の単独インタビューに応じ、結婚するにあたって出した条件を明かした。

 番組では、坂上忍がインタビュアーとなって、14日夜に妻を単独取材。その模様を放送した。

 妻は、野崎氏との出会いは、妻の友人の知り合いの男性から紹介されたと説明。会った日から「結婚したい」と迫られたといい、「私も『はい、はい』と流したところがあって。でも『はい』と言ってくれる人がいなかったみたいで…」と、野崎氏が妻の流した言葉を気に入ってしまったという。

 もちろん野崎氏のことは何も知らなかった妻は「本気にしていなかった」というが「先が短いから若い女の子と一緒にいたいって。それで話し相手になって下さいって言われて籍を入れました」と説明した。

 その際、妻は「和歌山では月の半分自由にさせてくれ」と、条件を提示。野崎氏側も「月に何回か(東京から)通えばいいよと。全然(和歌山で一緒に)住むとかそういう条件ではなかった」と快諾していたという。

 週刊誌などで報じられた「月100万円」というのは「社長がくれるっていうからありがとうっていうことで条件にいれた」と妻側からの申し出ではないとした。

 坂上からは「籍を入れることをよく決断しましたね」と聞かれると「遺産目当てと言われるが、社長の経済面に対してそれも社長の魅力の一つ」「経済面しっかりしてるって所は結婚する条件として大事」と、経済面に魅力を感じたことは否定せず。「怒られたこともない」という優しさも魅力の一つだったとした。

 だが「結婚をよく分かっていなかった。籍を入れて一緒に住むとか、そういうのが全然何も考えてなかった」と反省の言葉も飛び出していた。
http://news.livedoor.com/article/detail/14868751/


代理人佐藤大和弁護士、ドン・ファン妻は事件に「関与していない」

2018年6月15日 16時14分 デイリースポーツ


 紀州ドン・ファンと呼ばれた酒類販売会社社長の野崎幸助氏が不審死を遂げた事件で、野崎氏の妻が15日、フジテレビ系「バイキング」のインタビューに応じた。生放送には妻の代理人である佐藤大和弁護士が出演。妻の事件関与について、改めて「やっていないと思う」と訴えた。

 番組では坂上忍がインタビュアーとなり、妻に単独取材。野崎氏との出会い、事件が起こった当日の様子、なぜ結婚したのかなど、赤裸々に語った。

 VTRを終えた坂上は「何が一番驚いたかって、このタイミングでインタビュー引き受けてくださるからにはもっと準備されてるだろうと思った。質問NGもなかった」と、あまりにも自分の言葉で赤裸々にしゃべった妻に驚いたと告白。それほど“無防備”なインタビューだった。

 佐藤弁護士は「見ている方が疑問や聞きたいことは、協力できることはしていく」とした上で、今回のインタビューについて「代理人として深く回答にタッチしていない」と、あえて想定問答などは用意しなかったと明言。「というのは、代理人の立場で恐縮ですが、本人と会った時に、ぼくはやってないと思いましたので、だからこそありのままに真実を語ってと」と、無実だからこそ何も準備しなかったと説明した。

 これに東国原英夫は「やってないというのは、実行犯という意味ですか?それとも関与していないと…」と確認質問。佐藤弁護士は「関与していない。まったく関与してない。これは本人の口から明確に申し上げる」と力強く答えていた。
http://news.livedoor.com/article/detail/14869489/

ドン・ファン妻」をdisる以下のような週刊新潮の報道も多分空振りなんじゃないか;


ドン・ファン幼妻が葬儀で叫んだ「夫の墓なんて守らないもん」 ルノワールもある50億円の遺産」http://news.livedoor.com/article/detail/14867090/


田辺市といえば、南方熊楠*4と同郷か。
さて、小説家「まいん」問題に戻ると、鎌田東二氏なら(村上春樹とともに)”In dreams begin responsibilities”というW・B・イェーツの詩句を提示するかも知れない(See 『「呪い」を解く』*5、p.312ff.)。

「呪い」を解く (文春文庫)

「呪い」を解く (文春文庫)

DNAそのほか

承前*1

山本徹美「「袴田事件」再審棄却は明らかに間違いだ」http://blogos.com/article/304889/


曰く、


即時抗告審で争点となったのは、犯行時の着衣とされた衣類に付着した血痕のDNA型鑑定であった。その衣類のひとつ、半袖シャツに関して、検察側は、袴田さんが被害者と格闘した際に負ったもの、としていた。袴田さんの血液型はB型で、右肩部分の血痕と血液型は一致する。ちなみに、被害者である味噌会社の専務はA型、夫人はB型、長男はAB型、次女はO型であった。

シャツの右肩部分にある血痕について、静岡地裁では、弁護側が依頼した筑波大の本田克也教授も、検察側が推薦した鑑定人も、袴田さんのDNAとは一致しない、とした。なお、検察側鑑定人は、自身の鑑定結果に責任がもてない、と取り下げてしまう。

「検察側が推薦した鑑定人も、袴田さんのDNAとは一致しない、とした」のか。その方法は本田氏の方法とは別の方法だった? また、「取り下げ」るに際して、圧力とかはなかったのか。

4年間もかかった即時抗告審では、DNA型鑑定について審理が進められた。高裁は、東京高検の推薦による大阪医大の鈴木廣一教授に鑑定を委嘱した。鈴木教授は、本田教授のDNA型鑑定に用いられた試薬にはDNAを分解する酵素があるとして、再現実験には着手せず、別の鑑定方法を採用。結局、半袖シャツ付着血痕のDNA分析は不可能と結論づけたのである。

弁護側は、鈴木教授が理論のみで否定し、本田鑑定の追試を実行しなかったことを批判。実験には無縁の弁護士が、本田教授のマニュアルにのっとり、同種の器具、同量の薬品を用いて、9種類の血液付着物からDNA検出を試みた。その中には味噌漬けにして7年間以上経過した血液もあったが、すべて、DNA検出に成功した。その経緯をDVD動画に収録し、高裁に提出、証拠として採用された。

こうした経緯から、弁護側は、本田鑑定による新証拠の能力に自信をもっていた。が、「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる」、いわゆる自由心証主義により、大島裁判長は、袴田さんの無罪を証明する証拠とは認められない、と退けたのである。

「東京高検の推薦による大阪医大の鈴木廣一教授」の「鑑定」の結果は「DNA分析は不可能」。ここから、袴田はクロと推論することは、「原審において提出された証拠はじゅうぶんに審理されている」ということを素朴に信じているのでなければ、できないと思った。そんなことが素朴に信じられないからこそ、「再審」が請求されているわけだ。
山本氏は、「犯行時の着衣とされた衣類」それ自体が「袴田さんが逮捕され、拘留された後、何者かが「捏造」し、タンクに仕込んだ」可能性が高いと主張している。そして、「衣類」のポケットに入っていた「王こがねみそ」と記されたマッチ箱から、「捏造」の時期を「67年2月以降」と推論している。

「児童虐待八策」

承前*1

小林明子「いま泣いている子どもを救いたい。児童虐待の対策を求める署名活動はじまる」https://www.buzzfeed.com/jp/akikokobayashi/hitogotojyanai4


曰く、


署名プロジェクト「もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます!」*2は6月14日、インターネット署名サイトChange.orgで始まった。認定NPO法人フローレンス代表理事駒崎弘樹さん*3らが発起人となって呼びかけた「なくそう!子どもの虐待プロジェクト2018」の一環。

駒崎さんは、児童相談所の数が圧倒的に少なく、職員が多くのケースを抱えていること*4、IT化が進んでおらずFAXで情報共有していること*5、すべての情報が警察と共有されておらず、虐待を発見しづらいことなど*6を問題点として挙げ、その背景として、日本は社会的養護の予算が極端に少ないことを指摘している*7

結愛ちゃんは以前住んでいた香川県で2回、児童相談所に保護されており、顔や脚にあざが見つかっていた。目黒区に転居してから品川児童相談所が家庭訪問したが、結愛ちゃんとは会えなかったという。両親は、十分な食事を与えず、暴力をふるい、栄養失調状態で放置した虐待の疑いがもたれている。

「虐待した親や、児童相談所の対応を責めるだけでは解決しません。結愛ちゃんの事件で胸を痛めた人は、悲しみを声にしてください。国のお金の使い方は変えていけるはずです」(駒崎さん)

駒崎さんは、複数の専門家の知見をもとに、8つの総合的な対策「児童虐待八策」をまとめた。集まった署名は、東京都と政府に届ける。

児童虐待八策」は


(1)児童相談所の人員補充
(2)警察との情報共有
(3)児童相談所の組織改革
(4)里親の拡充と支援
(5)児童相談所のIT化
(6)児童相談所の適切な配置
(7)包括的な性教育
(8)予算の確保


See also
駒崎弘樹「もう一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めて署名キャンペーン始めました!」https://www.huffingtonpost.jp/hiroki-komazaki/child-20180615_a_23459556/

カーペンターズ好き

Dancing Bossa

Dancing Bossa

ここ数日、小野リサさんの『Dancing Bossa』ばかりをかけている。洋楽懐メロ集。どうも目当ては”Top of the World”らしい。自分でも、こんなにカーペンターズが好きだったのかと少し驚いている。まあ”Top of the World”は少年ナイフもカヴァーしているのだが*1。”Please Mr. Postman”も収録されているが、このオリジナルはマーヴェレッツで、有名なカヴァー・ヴァージョンとしては、ビートルズカーペンターズがある。カーペンターズのヴァージョンの方が馴染みがあるというのは、まず世代のせいであり、また何よりもこれがヒット曲だったからだろう。ビルボードで最高1位、日本でもオリコンで最高11位まで行ったという*2

白河院曰く

朝日新聞』の記事;


カジノ法案の採決を強行 与党など、衆院内閣委で
2018年6月15日15時25分


 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案が15日午後の衆院内閣委員会で、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。立憲民主党など野党は採決に反対し、審議継続を訴えたが、山際大志郎委員長(自民党)が職権で強行した。与党は19日に衆院を通過させる方針。20日までの会期を延長し、今国会中に成立させる構えだ。

 カジノ実施法案は、カジノを含むIRの設置基準などを定めた。カジノは刑法で厳格に規制されている賭博罪に当たるが、法案ではカジノ管理委員会の免許を受けた民間事業者を適用除外とする。ギャンブル依存症マネーロンダリングへの対策も盛り込まれている。

 カジノ利用者が条件付きで事業者から借金できる制度などもあり、野党側は依存症対策などが不十分だと批判。衆院内閣委で50時間の審議を求めていたが、与党が応じず、18時間10分にとどまった。
https://www.asahi.com/articles/ASL6H4QY8L6HUTFK00X.html

「カジノ」解禁は賛成というか、七面倒臭い議論をするよりも、もっと単純に刑法から「賭博罪」を削除すればいいという立場*1。ところで、日本共産党はこの「カジノ法案」に反対するに際して「賭博は持統天皇以来禁止」とか言っていたらしい*2。まあ、白河院は天下において、鴨川の水と双六の目と叡山の山法師どもは自らの意のままにならないとぼやいていたけどね。
さて、「カジノ」問題を巡っては、最近興味深いテクストを幾つか読んだ。


坂場三男「巨大なカジノ都市と化したマカオhttp://blogos.com/article/304624/


これは澳門凄い論。


今回、再度、マカオを訪問して、状況はだいぶ変わったなと感じた。移動のフェリーにも家族ずれの観光客が大勢乗り込んでおり、他のリゾート地に向かう場合とさして違わない雰囲気である。世界一のカジノがあるヴェネチアン・ホテル(2007年7月オープン)の3階は広大なフロア全体を使ってヴェニスの街が再現され、世界の一流ブランドの店舗が運河沿いに並んでいる。勿論、運河にはゴンドラが浮かび、観光客が「ヴェニス巡り」を楽しんでいる。天井には青空が描かれ、街を散歩すればヴェニスに瞬間移動した錯覚に襲われる。ホテルの部屋数は2000を超えるそうで、チェックインしても自分の部屋に辿り着くのが大変だという。隣接するホテルの部屋数は3000だというから想像を絶する。

 シテイ・オブ・ドリームズという別の巨大リゾート施設には大きな劇場(半円形に並んだ階段状の客席は3千人を収容)が付設されており、「ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」という超一流のアクロバティックな水上ショーを鑑賞できる。すり鉢の底に広い舞台がしつらえられ、フロアでパフォーマンスが行われたかと思うと、一瞬にしてそこが「海」(プールだが)に変わる。50mはあるかと思われる天井からはサーカスもどきにパフォーマーが次々と急降下してきたり、「海」にダイブする。席料は1万円以上するものの高額と感じさせない命がけのショーで、一見の価値はある。


翻って、わが国会でも統合型リゾート(IR)の開設を認めるかどうかの議論が行われているが、どうもチマチマとしていていただけない。スケールが小さい。マカオを見て来たあとだけに余計そう感じる。どうせやるなら世界をあっと言わせるような施設を作って欲しい。かつての安土城大阪城を再現するくらいの巨大施設(基底部分にカジノとシアターを配置;上層部はホテル)を水掘(プール)で囲み、城下町風の家並みで囲んだら面白い。ショッピング・アーケードは京都の町屋風に統一し、町はずれに五重塔ならぬ50層の「五十の塔」(高さ200m超)を作ったらどうか。そのくらいの気概がないならIRなどやめた方が良い。数年前にマカオに日本のパチンコ屋が進出したが、すぐに潰れたと聞く。どうも日本人の考えることは「いじましい」のである。


内田樹*3 *4「カジノについて」http://blogos.com/article/303006/


曰く、


第一の懸念材料は人々が期待するほどカジノは儲からないのではないかというカジノ専門家たちからの意見である。

カジノはすでに世界的に競争が激化しており、なんとか帳尻が合っているのはラスヴェガスシンガポールくらいだと言う。ニュージャージー州アトランティックシティは東海岸最大の賭博都市であるが、カジノの収益はここ10年減少し続け、2014年には、2006年当時の5分の1にまで減益した。4つのホテルが閉鎖、12あったカジノのうち5つが閉鎖という。気になるのは、アトランティックシティではカジノの衰退に先んじて街そのものがさびれたことである。カジノ客を当て込んだが、街は早々と「シャッター商店街化」した。

それも当然で、博打を打ちに来る客をいかにしてカジノホテルの外に出さないかこそがカジノ商売の骨法だからである。

客をカジノホテルの外に出さないためのこのサービスのことを「コンプサービス(complimentary service)」という。カジノで金を使うと、ホテル宿泊料やレストランでの飲食やショーの入場料が無料になったり割引になったりする優待サービスのことである。上客たちはVIPラウンジに招じ入れられ、チェックインカウンターやレストランで優先待遇を受ける。客たちはそのサービスの質を基準にカジノを選ぶ。

今回の法案審議の過程で、「日本のカジノはどのようなコンプサービスで他国のカジノに勝てるのか」といった話題を私は一度も聞いた覚えがない。聞いたのはカジノの入場料が6000円なのは高いのか安いのかとか、地下鉄を延伸するとかいう話だけである。千円札を握りしめて、地下鉄でカジノに来るような客を主たるクライアントに想定してしているのだとしたら、申し訳ないが、それはカジノではなく「大きなパチンコ屋」である。そんな「ビンボくさいカジノ」には外洋クルーザーや自家用ジェットで乗り付けて、一晩に何億も使う上客が来るはずがないと私は思うが、そういう懸念は賛成派の方々の脳裏には去来しなかったらしい。

多分、日本観光の促進という国策と「カジノ」との間には齟齬があるのだと思う。「カジノ」の質が高くなればなるほど、そこだけで完結してしまって、観光客が「カジノ」以外の日本の観光地へ行く可能性は低くなるだろう。澳門の盛況さだって、多分それは澳門に隣接する中国広東省や香港の観光ビジネスとは無関係だろう。そういえば、知り合いにラス・ヴェガスが好きな人がいて、とくに博打が好きだというわけではないのだけど、彼女にとって、羅府も紐育もたんに飛行機の乗換駅にすぎない。

なお、近年読んだ「カジノ」に関する言説では土屋恵一郎氏のものを超えるものはない*5

*1:See http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170126/1485442820

*2:http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20180616/1529108000

*3:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050531 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20050706 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060119/1137676496 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060120/1137745397 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060122/1137899122 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060128/1138470068 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060205/1139107434 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060206/1139201519 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060207/1139318386 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060209/1139504030 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060212/1139726021 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060227/1141064073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060306/1141627016 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060306/1141675462 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060313/1142223339 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060416/1145158222 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061107/1162862295 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061130/1164899318 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061207/1165468536 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061207/1165500507 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070128/1169989586 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070130/1170131794 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070202/1170441629 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070204/1170611496 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070415/1176609189 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070415/1176614680 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070624/1182702293 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070701/1183262085 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070702/1183341499 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070704/1183564169 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070721/1185040301 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070811/1186807194 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080117/1200593641 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080219/1203440787 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080407/1207591421 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080411/1207900427 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080616/1213547154 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080904/1220538100 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090107/1231303330 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090108/1231386781 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090109/1231531269 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090111/1231697318 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090210/1234271618 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090322/1237741323 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090722/1248240487 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090914/1252945813 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090919/1253336095 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091128/1259384146 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091205/1260031366 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091213/1260686440 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100420/1271785873 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100816/1281992231 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100817/1282044428 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101106/1289051650 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101109/1289281535 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101113/1289668226 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101123/1290485341 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101124/1290623454 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101213/1292243637 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101220/1292861075

*4: http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110609/1307650973 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110814/1313322168 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110904/1315163207 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111024/1319416350 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20111106/1320550477 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131104/1383565997 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131121/1385046451 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140104/1388853836 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140315/1394852680 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140806/1407340386 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20141008/1412744846 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150621/1434908617 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20161111/1478828492 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170526/1495770022 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170817/1502943789 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20180607/1528343126

*5:白石圭「カジノへの屈折した感情を解明する――能楽から考える「ギャンブルの哲学」 法哲学者・能楽評論家、土屋恵一郎氏インタビュー」http://synodos.jp/intro/19270 Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20170330/1490886243