はちみつ*1「読んだ:『春の庭』」https://hannyhi8n12.hatenablog.com/entry/2025/08/25/164643
柴崎友香の『春の庭』*2について。
このテクストはご自身の経験した「東京」と『春の庭』という小説の「東京」が殆ど溶け合っている。ここでは、比較的溶け合いが少ない箇所をコピーしておく。
たらたらと文を読みながら、でも「東京」にある、においや光が確かに感じられる物語を追って、妙なまどろみの中にいるような気がした。このまどろんだ感覚を私も感じていたような気がするが、いつのまにか、そのまどろみの外に出ることになった。この「まどろみ」は仕事をしているとかしていないとかに関わらず残っていたものである。
具体的な場所で言うと、吉祥寺とか武蔵境に残っていたものだったと思う。作中では舞台になっているアパートは世田谷にあるということだけれど。
何が起こるわけでもない、写真集に写っていた家と、その隣に建っていたアパートをめぐる風景を感じるような読書体験であった。登場人物さえも風景の一部に思えてくるのだ。
