過疎と過密、など

承前*1

信州中野市の殺人事件、既に犯人である青木政憲のプロファイリングが行われている。
近所の女性2人と警官2人が殺されたこの事件、このまま、引きこもり気味の非コミュ青年の暴発というふうに、まとめられてしまうのだろうか。


NEWSポストセブン「《長野立てこもり男》青木政憲容疑者(31)は「会話のキャッチボールが成り立たない人」近隣住民が抱いた「結婚式欠席」の違和感」https://news.yahoo.co.jp/articles/02af62199f4463ce6ee5456a793aed305cf02f5c


曰く、


青木容疑者も「マサノリ園」で農業に携わっていた。地元住民が語る。

「たしか20歳くらいのときにご長男も本格的に家業に加わったのかな。軽トラに父親を乗せて農道を走るところを見かけたよ。お母さんがフルーツカッティングの資格を取ったのも、『華やかな盛り付けで果物をアピールすれば、農業を始めた息子の助けになるかも』と考えたかららしい。

 両親ともに地元の名士だけど、ご長男は大人しくて口数が少なかった。あまり周囲とコミュニケーションを取ろうとしないというか、会話のキャッチボールが成り立たない人という印象だったね」

 一方で、別の地元住民によると、青木家の家族仲に違和感を持つような出来事があったという。

「3年ほど前に妹の結婚を祝うパーティーが自宅で開かれ、親戚が15人ほど集まりました。お母さんが料理を振る舞い、夫の青木氏も客をもてなしていましたが、なぜか長男の姿が見えず……。たまたま体の具合が悪かったり、パーティーが苦手だったのかもしれませんが、『あれっ?』と感じました」

ほかに、


「文春オンライン」特集班「「金のない者は心にゆとりを持てない」“長野立てこもり4人殺害”容疑者の市議会議長息子(31)が育んだ“恐怖の殺人願望”「大学中退、親経営のジェラート店で“すねかじり”」「幼稚園から様々な戦争映画を見てきた」」https://news.yahoo.co.jp/articles/5571830bbb0fea4dac13ea7a84c39237985083e3
集英社オンライン編集部ニュース班「〈立てこもり〉新証言「自衛隊に数ヶ月いた」「クレー射撃場に通っていた」長野4人殺害・青木政憲容疑者の過保護すぎた履歴書「野球部でアダ名は“あおまちゃ”」「高校生になっても両親が送迎」70歳の母を殺害された息子の慟哭…」https://news.yahoo.co.jp/articles/59a0b3025c48d7ca96469e2f05c6a3d605cec629


を読んだ。
また、FNNプライムオンライン「長野・ 立てこもり男「ひとりぼっちをののしられたと思い、最初の女性を刺した」“大学でいじめ”とも話す」*2は、


捜査関係者によると、青木容疑者は、家族に対して、「大学時代にいじめにあってから、人間関係が苦手となり、家業の農業を1人でやっていた」と話し、さらに、「ひとりぼっちであることをののしられたと思って、最初の女性を刺して殺害し、駆けつけた警察官に撃たれると思って、猟銃で射殺した」という趣旨の話をしていたという。
と伝えている。
これを読んだ時点では、青木が進学した大学が「農学部」だったということは知らなかった。その後、文春の記事を読んで知った。思ったのは、大学生の人間関係というと、何十年も前から、主に都会の大規模私大の場合、学生の人数が多くて物理的には過密なのに社会的・心理的には過疎であることが言われていたのではないか、と思った。つまり、そこでは「いじめ」が起きるほど濃密な人間関係は生成されない。その一方で、郊外の小規模な大学では、人間関係が濃密になりすぎているということを指摘していた人もいた。農学部なら、小集団による長期の実習が不可欠なので、濃密な人間関係が構築されて、そうした関係の濃さが苦手な人は辛くなるな、と思い、納得してしまったのだ。
また、今回の事件の余波で「議員辞職」してしまった父親が私よりも若かったことには軽いショックを受けた。