降臨できた

「グレンダイザー」https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2023/01/12/110517
Gamer編集部「全高33.7mの「グレンダイザー」立像がサウジアラビアにて公開!世界最大の架空キャラクター金属製彫刻としてギネス世界記録に認定」https://www.gamer.ne.jp/news/202212150040/


『UFOロボ グレンダイザー』という永井豪原作のアニメは知らなかった。1970年代の作品だけど、今でも、仏蘭西レバノンを中心としたアラブ圏で人気があるのだという。仏蘭西では郵便切手になっている。また、サウディ・アラビアではグレンダイザーの巨大な立像が建立されたという。
東京で言えば、〈お台場ガンダム*1みたいなもの?
とはいえ、吃驚したのは、ここがイスラーム社会、それも偶像崇拝を厳しく退けるワッハーブ派の本拠。サウディ・アラビアだということだ。1970年代にサウディにっ留学したことがある社会人類学者の故大塚和夫は次のように述べている;


ある日、われわれ日本人留学生はいつものように朝に寮を出て、歩いて五分ほどのところにあった大学に向かっていた。そして、大学近くの路傍に絵と文字の入った看板を目にした。絵の部分は背景には火事が、前景には子供を抱いて逃げ惑う母親などが描かれていた。いわば「火の用心」を呼びかける看板であった。
私のいう「事件」がおきたのはその数日後であった。通学中にふとその看板をみると、なんと母子の顔の部分が黒ペンキのようなもので塗りつぶされていた。そして、その下にやはり黒で、「ハラーム・アッ=スーラ」というアラビア語が大きく書かれていた。ハラームというアラビア語は「禁じられたもの」、とくにシャリーアイスラーム法)で禁止されている物事を意味する。そしてスーラとは、写真や絵画などをさす。つまり黒塗料を用いた者は、「絵画はイスラーム法で禁じられている」と主張し、それを実践するために母子の顔を塗り潰したのである。(『イスラーム主義とは何か』、p.26)*2
勿論、その後は、サウディ・アラビアにおいても、写実的な人物画の実践が行われてはいるが、「グレンダイザー」像って、まさに〈偶像〉だろう。宗教的な論争は起きなかったのか? 〈偶像〉に対する宗教的介入ということだど、2015年に「雪だるま」禁止のファトワを出したウラマーがいた*3