死後の弟子?

清水有香*1「自分で見つけ、調べる喜び」『毎日新聞』2021年9月5日


写真家/美術家の下道基行氏*2について。


直島で現在、資料館館長を務める。といっても〈瀬戸内「」資料館〉というプロジェクトの一環だ。2019年から4年間の計画で、カッコ内には毎年異なるテーマが入る。宮ノ浦地区のアートスペース*3を会場に、瀬戸内の景観や歴史について調査し、資料を収集。それらを展示し、地域住民らと語り合う場を生む。いわば島に開かれた「資料館」という作品だ。
黒壁の室内には関連資料を保管するスチール棚が並び、「見える収蔵庫」と化す。そうしたアーカイブを基に別の作品を制作するわけでもない。調査・展示の記録が更新され、棚を満たしていく日々の営みそのものが作品の厚みになる。「現実をネタにフィクションを作るのではなく、現実を記述して見せ方を考えるのが僕の制作。なぜなら現実の方が面白いと思うから」

01~05年撮影のデビュー作「戦争のかたち」では国内の生活空間に残された戦争遺構を撮り集めた。06年から日本の国境の外にある鳥居を捉えたシリーズ「torii」を手がけ、津波で海底から運ばれた巨石を映像にした「津波石」(15年~)は19年、伊ベネチア・ビエンナーレの日本館にも展示された。その間、国立民族学博物館大阪府)の特別客員教員を務め、アーカイブの再活用に携わった。
直島の宮ノ浦には2019年8月に行っているが*4、下道「資料館」は観ていないのだった(汗)。
「下道さんは進学した武蔵野美術大学で同大名誉教授だった宮本常一民族学と出会い、「歩く見る聞く」という姿勢で民衆の暮らしを探求する学問に夢中になった」という。下道氏は2021年の時点で42歳なので、氏が生まれて直ぐに宮本*5はこの世を去っていたことになる。
死後の弟子とおいうことになる?