最初、朝日の記事*1を読んだのだけど、要領が全然摑めなかった。
ANN曰く、
朝日の記事には「コロナ」の「コ」の字も出てこないのだった。
新型コロナ対策で生じた葛藤により「法的紛争の可能性」最高裁長官が談話発表
5/3(月) 10:30配信
ABEMA TIMES
憲法記念日にあたり、最高裁判所の長官が談話を発表し「新型コロナの感染対策で国民生活に生じた葛藤が、今後法的紛争として現れる可能性がある」との見方を示した。
最高裁の大谷直人長官は、「国民生活は多くの影響を受けており、そのような中で生じている葛藤が、今後法的紛争として現れてくる可能性もあると思われる」「特に家族のあり方の多様化などに伴い解決困難な家庭事件が増えているが、現在の事態が家庭を巡る状況に与える影響についても十分留意する必要がある」との見方を示し、「新たな争点にも適切に対応できるよう体制を整備したい」と述べた。
裁判所の業務については「感染対策を確実に講じた上で各地の実情に配慮し、できる限り安定的に継続する方針だ」とした。
また、夫婦別姓や同性婚を求める裁判が全国で相次いでいることについて「一般論だが、裁判官は新たな社会問題について、広い視野で対立する主張に耳を傾け判断することが求められる。そのためには、それぞれの裁判官が日々の仕事や生活を通じて識見を高めるのが重要」との考えを示した。
(ANNニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6bf742fb357b9c920196413ffe13fa78555f09a
こっちもわからない。「国民生活は多くの影響を受けており、そのような中で生じている葛藤が、今後法的紛争として現れてくる可能性もあると思われる」。「特に家族のあり方の多様化などに伴い解決困難な家庭事件が増えているが、現在の事態が家庭を巡る状況に与える影響についても十分留意する必要がある」。これら2つのセンテンスの関係は? 「解決困難な家庭事件」というのが具体的に何を指すのかはよくわからいのだけど、これが「増えている」のは「コロナ」以前から進行していた「家族のあり方の多様化」のためであって、「コロナ」とは直接の関係はない。「コロナ」が「国民生活」に「多くの影響」を与えている「現在の事態」は「解決困難な家庭事件」に影響を与える可能性はあるけれど、具体的には未知数であるということ?
「広い視野で対立する主張に耳を傾け判断することが求められる」というのは法的判断に限らず、全ての「判断」において要請される当たり前のことを改めて言挙げすることにどんな意味があるんだろうかと思ってしまった。
「夫婦別姓や同性婚を求める裁判」*2というのは「対立する主張」や利害に対して司法による調停が要請されるという意味での「裁判」ではない。憲法的な正義に準拠して新たな法の創設を要請すべき事柄であって、その意味では現行の法制度の枠組みにおいては「解決困難」ではあろう。
*1:阿部峻介「夫婦別姓や同性婚「新たな社会的問題、裁判官は広い視野で」相次ぐ裁判で最高裁長官」https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_608f4983e4b046202708f14b
*2:See eg. https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20150219/1424355486 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/14/232304 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/16/025039 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/10/02/134933 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2020/02/16/101311 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2021/03/17/141118