最高裁で

『毎日』の記事;


夫婦同姓など:「たなざらし」明治の民法 改正へ強い姿勢

毎日新聞 2015年02月18日 21時54分(最終更新 02月18日 23時17分)


 夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法違反として、事実婚の夫婦ら5人が国に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は18日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付した。また、女性だけに離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法の規定を違憲だと訴えた女性の訴訟の上告審も、第3小法廷(大橋正春裁判長)が審理を大法廷に回付した。いずれの規定についても大法廷が初めての憲法判断を示すことになる。

          ◇

 夫婦同姓や女性の再婚禁止期間を定めた現行民法は明治期に制定され、家父長制の流れを受けている。家族の多様化を背景に1996年に法制審議会が民法改正を答申したものの、家族が崩壊するなどという声も根強く、見直しは実現してこなかった。審理を大法廷に回付した最高裁の今回の判断は、立法が20年近くたなざらしにしたテーマに答えを出そうという司法の強い姿勢がうかがえる。

 民法改正に対する賛否は割れている。2012年の内閣府世論調査でも、選択的夫婦別姓の導入について容認は35.5%、反対は36.4%だった。再婚禁止期間にも、生まれた子の父子関係に絡んだ紛争が予想されるとの意見がある。改正に前向きとされた民主党が政権を獲得しても改正は実現しなかった。

 だが、女性の社会進出が進む一方で、結婚した女性の9割以上が夫の姓に改姓している現状は「実質的な性別差別」との批判もある。近年は事実婚やシングルマザーも増え、現行民法の規定は社会の変化に追いついていないと指摘されている。

 司法は近年、こういった問題で積極的に判断を示す傾向がある。婚外子の相続差別については13年に最高裁違憲判断を示し、法改正が実現した。残った課題とされる2件をまとめて大法廷に回付したことにも、司法の意欲が見て取れる。ライフスタイルや家族観の変化に見合った判断が期待される。【川名壮志】
http://mainichi.jp/select/news/20150219k0000m040111000c.html

また、『朝日』の報道;

夫婦別姓・女性の再婚禁止期間 最高裁、初の憲法判断へ

西山貴章

2015年2月18日20時48分


 民法が定める「夫婦の別姓は認めない」とする規定と、「女性は離婚後6カ月間は再婚できない」という規定が憲法に違反するかが争われたそれぞれの訴訟について、最高裁は18日、15人の裁判官全員による大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で審理することを決めた。両規定について、合憲か違憲かを初めて判断するとみられる。

 家族のあり方を定めた民法の規定をめぐっては、最高裁は2013年、遺産相続の際に結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の取り分を、結婚した男女の子の半分としていた規定を「違憲」と判断し、法改正を促した。これに続き、社会的に関心の高い二つのテーマで判断を示す見通しとなり、その結論は今後の夫婦や家族関係に大きな影響を与えそうだ。

 夫婦別姓をめぐる訴訟は、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が「結婚すればどちらかの姓を名乗ることを強制され、精神的苦痛を受けた。規定は男女平等の権利を保障した憲法に反する」などとして国に計600万円の慰謝料を求めた。13年5月の一審・東京地裁は「別姓の権利を憲法が保障しているとは言えない」として請求を棄却。14年3月の二審・東京高裁も「違憲とは言えない」と判断した。

 女性の再婚禁止期間の規定をめぐる訴訟は、岡山県の女性が「離婚後、民法の規定によって再婚の時期が遅れ、精神的苦痛を受けた」として国に慰謝料165万円を求めたもの。この規定は、子の父親が誰かという推定が重なって混乱しないために設けられている。

 12年10月の一審・岡山地裁は「規定は父子関係をめぐる争いを防ぐ目的があり、合理性がある」として請求を棄却。13年4月の二審・広島高裁岡山支部も同様の理由で訴えを退けた。

 それぞれの訴訟で原告側が上告していた。最高裁は、判例の見直しや憲法判断をする際には大法廷で審理する。

 二つの規定をめぐっては、1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が「希望した夫婦が別姓を選択できる『選択的夫婦別姓制度』を導入」「女性の再婚禁止期間は6カ月から100日に短縮」とする改正案を答申した。だが、特に夫婦別姓について保守系議員の反対が強く、法改正には至っていない。

 夫婦別姓については、内閣府が12年、結婚するときに同姓か別姓かを選択できる法改正の是非について成人5千人を対象に世論調査を行っている。「法改正の必要がない」と答えた人は36・4%。「改めてもかまわない」と答えた人は35・5%で、拮抗(きっこう)していた。(西山貴章)
http://www.asahi.com/articles/ASH2L5GV8H2LUTIL02J.html

『朝日』の記事には、「原告の主張」、「一審」判決、「二審」判決を対照した表が付されている。
「日本の裁判所は、政府と異なる解釈をすることには消極的」なので(アナリーズ・ライルズ)*1、劃期的なことは期待しない方がいいのだろうけど、この問題に再度社会的な注目が集まることは間違いないだろう。
夫婦別姓」問題については、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060503/1146669098 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090419/1240150549 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090905/1252117392 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090918/1253249073 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090928/1254069607 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090930/1254274901 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091004/1254679093 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091123/1258950633 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091126/1259205760 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100104/1262603428 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100528/1275011275 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100621/1277091830 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100625/1277433569 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100713/1278999372 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100802/1280726806 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20101209/1291899124 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131007/1381125070 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131023/1382498882 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131116/1384584256 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140930/1412049585も。