高橋咲子*1「「負けんぞ」のルーツをたどる」『毎日新聞』2020年10月17日
『国道3号線 抵抗の民衆史』*2の著者、森元斎氏。
『国道3号線』とは、以下のような本であるようだ;
初めて福岡を訪ねたのは大学生の時。初対面でも酒と共に対話の渦に巻き込まれる「異国」だった。「東京では隣近所が何をしているかも知らず、電車で貧血で倒れて蹴られたこともあった。『人を見たら敵と思え』という生活をしていただけに衝撃でした」
その後、職を得て福岡へ、大学講師の傍ら畑作業をし、同世代の子育て家族らと「コミューン」的生活を送った。暮らしの中で谷川*3や石牟礼道子の言葉を実感し、友人らに教えられ、歴史や文化に触れていった。現在住まう長崎にも「興味深い人物がいた」と興味は尽きない。
西南戦争、水俣病にサークル村、炭鉱労働者の争議、米騒動。国道3号線をたどれば、九州の近現代が分かる。「なぜ『こう』なのか」。東京生まれの哲学者が民衆の抵抗史を問い直し、ロードムービーさながら読み手を九州縦断の”旅”に連れ出す。