「簡単じゃないけど、でもそんなに複雑でもない」

大竹文雄*1「人の思いを理解して論理的に考える」『毎日新聞』2020年8月22日


鎌田雄一郎『16歳からのはじめてのゲーム理論』の書評。


他人の行動については、どうしてあんなことをするのか、と不思議に思うことがないだろうか。しかし、他人から見れば非合理に見えることでも、本人にとってみれば、理由があることも多い。このような人間社会の中での意思決定について、とことん論理的に考えるのがゲーム理論*2だ。

本書を通じて一貫しているのは、理論的に考えてみれば「世の中簡単じゃないけど、でもそんなに複雑でもない」という著者の考え方である。これは、6つの章の主人公の名前を繋げるとTheory(理論)になっていることからもわかる。この本は、物語を通じて人の気持ちを理解するという国語力と論理的に考えるという数学力を高めてくれる。