そもそも人形は

「奉公さんについて」https://nessko.hatenadiary.jp/entry/2020/09/19/153200


「奉公さん」*1という「病除けのお守りとされてい」る香川県の「郷土玩具」を知る。
ちょっと調べてみると、


昔、さぬき生駒の殿様時代(1587年-1640年)の話しです。
殿様のお姫さまのおそば仕えに上がっているおマキという童女がいました。
ある時お姫さまが重い病にかかり、いろいろ手の限りを尽したが、どうしても直りませんでした。
 そこでおマキが身代わりに、お姫さまの病を身に移しうけお姫さまが全快されるようにひたすら祈願をこめて、海のかなたの離れ島に流し人となり、短い一生をおえました。
 世の人たちは、おマキのことを、「奉公さん」と呼んで、あわれみ、そして誉めたたえ、そして人形につくられました。
それが 今現在の高松の奉公さんです。
 この奉公人形を買い、子供が病にかかるといったん子供に抱かせてから、海に流すと病は不思議となおったそうな。このように、昔は、病よけのまじないに用いられていました。
 また、赤色は、魔除けや病除けになると信じられていたため、赤い着物を着た奉公さんは、子供の守り神として買われていました。
 讃岐の風土から生まれた、素朴で温か味のある和紙の張り子人形。
また、現在では、結婚式などの引き出物などに使われています。
http://www.miyauchi-e.com/houkou.htm
この記事は「宮内電機」という会社のサイト内にあるのだけど、「奉公さん」の張子人形を再興したという宮内フサという人*2の子孫の会社なのだろう。
所謂類感呪術*3。患者と類似した存在である人形に「病」を転送する*4。まあ、人形の使い方としてはかなり馴染み深い仕方かも知れない。雛人形(流し雛)もそもそもは穢れやら災いやらを背負わされて水に流される存在だった*5
考えてみると、「人形」という言葉それ自体が何だかおどろおどろしい意味を持っているような感じがする。人形(にんぎょう)というのは呉音*6。呉音というのは抹香臭いというか、基本的には仏教と結びついているわけだけど、人形と仏教の関係というのはわからない。

*1:See https://gramho.com/media/2368949665015913090

*2:See eg. 福岡茂樹「高松張子(高松市)」https://www.shikoku-np.co.jp/feature/nokoshitai/mingei/8/

*3:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20170508/1494220784 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/02/06/111102

*4:隠喩(メタファー)にはそもそも転送という意味がある筈だ。

*5:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20171031/1509421484

*6:漢音なら、ジンケイという筈。