「日記」と「創作」の間

トミヤマユキコ*1「話題の本」『毎日新聞』2020年6月6日


つげ義春日記』(講談社文芸文庫)の紹介。
lこの本には、つげ義春*2の1975年から1980年にかけての日記が収録されている。


読者を待っているのは、日記と創作の境界線が曖昧になっていく読書体験だ。私小説を愛するつげさんだから、この日記が「記録」から私小説的な「作品」に近づいていくのも不思議ではない。物語が読めないから手に取ったはずなのに*3、気づけば物語を読まされている。でも、それがとてもありがたいと思った。

*1:https://twitter.com/tomicatomica

*2:See also https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20050718 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20110729/1311868234 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20120614/1339636821 https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/20161225/1482683148

*3:「「3密」を避けステイホームを心掛けよと言われた当初は「読書が捗っちゃうな~」と浮かれていたが、思いのほか気持ちが落ち着かず、物語の深くまで潜っていけない。」