Jamais vuの人

川本三郎*1「日常の先の非日常を描く画家の魅力」『毎日新聞』2020年2月2日


青木保*2エドワード・ホッパー 静寂と距離』の書評。先ず、あの『タイの僧院にて』の青木先生が エドワード・ホッパー*3論を書いたということが吃驚!
これは青木先生の意見なのか川本氏の意見なのか、ちょっとわからないけれど、気になったところを書写。


「女ひとり」「男ひとり」「ベッドのふたり」「建物」「燈台」「空っぽの部屋」……、ホッパーの絵はどれも何気ないアメリカン・シーンばかりだ。それでいていままで見たこともないような特別な風景に見えてくる。
「ジャメ・ヴュ」(Jamais vu)というフランス語がある。「デジャ・ヴュ」(Deja vu)の反対語。はじめてみる風景なのにどこかで見たことがある「既視感」に対し、いつも普通に見えている風景なのに、よく見てみると見たこともない風景に感じられてくる「未視感」。
ホッパーは、いわば「ジャメ・ヴュ」の画家といえようか。
タイの僧院にて (中公文庫 あ 5-1)

タイの僧院にて (中公文庫 あ 5-1)