人生の時化に遭って

「自殺した児童生徒 最多の332人 昭和63年度以降で」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191017/k10012136541000.html


曰く、


昨年度1年間に自殺した小中学生と高校生は332人で、昭和63年度以降、最も多かったことが文部科学省の調査で明らかになりました。一方で、亡くなった理由については、6割近くが「不明」とされていて専門家は、「子どもの自殺は心理的な要因が大きいため一つ一つの詳細な検証が再発防止に欠かせない」と指摘しています。

文部科学省は、全国の小・中学校や高校から報告を受けた子どもたちの自殺の件数を毎年度、公表しています。

その結果、昨年度、自殺した児童生徒の数は男子が193人、女子が139人の合わせて332人で、前の年度から82人、1.3倍の増加となりました。

内訳は、小学生が5人、中学生が100人、高校生が227人です。全世代の自殺者数は、去年2万人余りで、ピーク時の6割ほどにまで減っていますが、子どもたちの自殺は昭和63年度に、今の方法で統計を取り始めて以降最も多くなりました。


今回の結果について子どもの自殺に詳しい国立精神・神経医療研究センター松本俊彦部長*1は「国が力を入れてきた中高年の自殺が減少してきた一方で、子どもたちへの対策に、まだ課題があることを意味していると思う。中高年の自殺が景気など社会的要因の影響が大きいのと比べ、子どもの自殺は心理的な要因が大きいので、一つ一つの詳細な検証が重要な意味を持つ。教育現場は詳細を明らかにすることで、責任があるとされることに防衛的になるのかもしれないがさまざまな関係者が再発防止のため、調査を進めないといけない」と指摘しています。
「児童生徒」というけれど、「児童」すなわち小学生は絶対数も少なく、問題なのは「生徒」の方、つまり中学生と高校生ということになる。結論から言うと、思春期というのは人生の大時化であって、常に航海中に難破したり座礁したりするリスクが伴っているということだろう*2。だから、「子どもの自殺」というよりも、中学生と高校生だけでなく、大学生というか20代前半くらいまでを視野に入れて、若者或いはヤング・アダルトの問題として考えるべきだろうと思う。また、小学生の場合でも、高学年ともなれば思春期に少なくとも片足は突っ込んでいるといえる。
勿論、思春期というライフ・ステージの問題だけではなく、時代によって増加したり減少したりしているので、自殺を後押している時代的・社会的ファクターを析出していくことも重要である。