川崎ミチコ「中国人の「真理」観」『サティア』(東洋大学井上円了記念学術センター)14、pp.16-17、1994
「中国古代において、「真理」の語は殆ど使われない」(p.16)。「真理」に意味の近い熟語には、
真際
真義
真形
真箇
真相
真実
真正
真諦
真的
真如
理体
理本
理命
理論
実際
実相
実正
実性
実体
如実
如如
などがある(p.17)。
顔之推『顔氏家訓』について。
『顔氏家訓』でいう現実における「生の全う」とは、まさに生きる「真」にほかならない。翻っていうならば、それは「如如」であり生活者の生の全うであり、日常の重視である。(後略)(ibid.)
顔之推の『顔氏家訓』巻十三止足篇では、『易経』謙卦伝などを出典として、人間らしい生活において、贅沢などというものは無用の沙汰であるとし、さらに周の穆王・秦の始皇帝・漢の武帝という実例を挙げ、天子という最高の地位に就いている者であっても、無限の欲望追求の結果、禍敗を被っているのであるから、況んやわれわれ一般人にはなおさらのこと、余分な増殖・貯え等することなく慎ましやかな生活をするようにと戒めている。つまり、現実においていかに生きるべきなのか、いかにいきていかねばならないのかということ―生活上の真理―が、「生きる」「生きている」ということを通して、より具体的にその真理をみているのである。
「真理」を思弁的真理と現実経験的真理とに分けて考えた時、中国人の考える「真理」とは、決して現実を離れた思弁的・戯論の世界の言葉ではあり得ないのである。事的(現象)世界が理的(真理)世界より重視され、やがて事理無礙の世界から、事事無礙の世界へと移るのは、『顔氏家訓』成立後百年を経ない唐代初めの思想界のことであった。(ibid.)
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Peimin Ni “Kung Fu for Philosophers” https://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/12/08/kung-fu-for-philosophers/ *1