湖南(メモ)

汪栄祖「想象中的“湖南独立”」『上海書評』2010年1月10日


Stephen R. Platt Provincial Patriots: The Hunanese and Modern China(Harvard University Press, 2007)の批判的書評。
Stephen R. Plattの仮説は近代中国ナショナリズムは「湖南ナショナリズム(Hunanese Nationalism)」を基礎として形成されたというもの。たしかに、中国ナショナリズムに多大なる影響を与えた、或いはそれを主導的に担った、王夫之(王船山)*1、曽国藩、郭嵩蝱、(『仁学』の)譚嗣同、毛沢東といった思想家は湖南人である。

仁学―清末の社会変革論 (岩波文庫)

仁学―清末の社会変革論 (岩波文庫)

以前、大河ドラマ篤姫*2を視ていたら、妻が薩摩人と湖南人は似ていると言った。田舎者のくせに天下国家を云々することが好きだということで。若い頃の毛沢東西郷隆盛を尊敬していたが、湖南時代の毛沢東のテクストとしては、竹内実編『中国はどこへ行くのか―毛沢東初期詞文集』をマークしておく*3
中国はどこへ行くのか―毛沢東初期詞文集 (岩波現代文庫)

中国はどこへ行くのか―毛沢東初期詞文集 (岩波現代文庫)

毛沢東ということで、『鳳凰週刊』2009年12月25日号の特集は「「毛沢東城」:韶山政治史」。毛沢東信仰と伝統的な民俗宗教との習合が興味深い。目次を書き出しておく;

周宇、李雪「韶山出了個毛沢東」(pp.18-27)
周宇、肖克莱提「“毛沢東城”政治史」(pp.28-31)
段宇宏「毛沢東外孫女打造時尚版“新毛語録”」(pp.32-33)
成文軍「毛沢東、懐念與告別之間」(pp.34-39)
また、Jonathan SpenceのTreason by the Book*4の主要な舞台も湖南であった。
Treason By The Book: Traitors, Conspirators and Guardians of an Emperor

Treason By The Book: Traitors, Conspirators and Guardians of an Emperor

*1:王船山について日本語で書かれた概説書は遺憾ながら知らない。ただ、船山の『易経』解釈は西洋における『易経』理解、特にユンクに強い影響を与えたと言われる。船山の『易経』解釈については、高田淳『易のはなし』を参照のこと。

易経〈上〉 (岩波文庫)

易経〈上〉 (岩波文庫)

易経〈下〉 (岩波文庫 青 201-2)

易経〈下〉 (岩波文庫 青 201-2)

易のはなし (岩波新書)

易のはなし (岩波新書)

*2:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090308/1236531767

*3:毛沢東湖南省に関しては、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060907/1157629140 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060909/1157782922も参照のこと。

*4:See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090203/1233664206 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091213/1260686440