昨年、北朝鮮の平壌で前漢の『論語』の竹簡が発掘されたという報道があった*1。そのとき疑問に思ったのは漢代に『論語』がそんなに重要視されたのかということだった。その頃重視されたのはやはり『春秋』や『易経』で、役人として立身出世しようとして勉強するなら『春秋』や『易経』でしょ、と思った。『論語』というのはblogのエントリーとか〈呟き〉とかを纏めたという体の書で、孔子という人物のパーソナリティや生は具体的にわかるにしても、そこを貫く〈理論〉みたいなものはない。
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徐洪興「宋代経学中的“尊王”思想――以孫復的《春秋尊王発微》為例」(in 徐洪興、小島毅、陶徳民、呉震(主編)『東亜的王権與政治思想――儒学文化研究的回顧與展望』*2、pp.50-68)
この論攷は『春秋尊王発微』を著し、「尊王」(或いは「攘夷」)思想の先駆者となった北宋の思想家、孫復を論じたものなのだが、その中に宋代における所謂「四書」の地位について述べた部分がある;
宋代初めには『論語』を含む「四書」の地位はあまり高くなく、宋代を通じて段々とそれらの地位は高められていったが、本格的に経典としての地位が確立したのは朱熹以後だということになる。
一般認為、《四書》即《大学》、《中庸》、《論語》、《孟子》、是宋儒普遍尊信的主要経典。因為它們是道学価値体系和工夫系統的最基本的文本依拠。這個説法当然並不錯、但也不能一概而論。実際上、《四書》的重要性在宋代是逐漸顕現出来的。在道学的初期階段中、《四書》的地位並不高。尤其是其中的《孟子》一書、其由”子”入”経”的基本完成要到北宋末期。如果従整個過程来看、可以説、《四書》的重要性在早期道学中已経引起了部分儒者的関注、但其地位的真正確立、則要等到南宋的道学大師朱熹為之”集解”之後才漸漸形成的。
整個両宋時期、為儒者所普遍重視的儒家経典、無疑当推《春秋》和《周易》二経。(後略)(p.52)
かくして、日本のTVの時代劇で子どもが学習するシーンというと、シノタマハクとたどたどしく『論語』の一節が棒読みされることになるのか。