保育園児の反応

ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)

ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)

ぼくらのなまえは ぐりとぐら (福音館の単行本)

ぼくらのなまえは ぐりとぐら (福音館の単行本)

中村柾子「子どもたちと『ぐりとぐら』」(in 福音館書店母の友編集部編『ぼくらのなまえはぐりとぐら』、pp.100-103


ぐりとぐら*1に対する或る保育園児のの反応;


お昼寝の前に三歳児クラスで『ぐりとぐら』を読んだときのこと、本を閉じると、あやちゃんが言いました。「歯、みがいてこなくちゃ」たしかに食後に磨いたはずなのに。「まだだったの」と尋ねると、「カステラ食べたから」とのこと。「いちど磨いたら、もう磨かなくてもいいの」なんて野暮なことを言わなくてよかった、と思いました。それにしてもあやちゃんたら、いつのまにそんな素敵な絵本の楽しみかたおぼえたの? あなたはもう一人前の読書家ね。こんな思いが一瞬のうちにぐるぐると頭を駆け巡ったのでした。
さて、あやちゃんはほんとうに歯を磨きに行くかしら。彼女の後ろ姿を目で追うと、ともだちとふたりで指を歯ブラシに見立て、笑いながら口元をごしごしとやっているではありませんか。彼女たちは、ぐりとぐらの焼いたカステラをほんとうに食べたのですね。その日一日はとても幸せな気分に包まれていました。(pp.100-101)