A functional equivalent?

承前*1

今西憲之*2「「少女の血が見たい」警察官を両親に持つ勝田容疑者の”異様な愛情”とは?」https://dot.asahi.com/wa/2018053100012.html


別件で服役中でありながら、2004年に岡山県津山市で発生した小学3年生の女子殺し容疑で獄中逮捕された勝田州彦について。


そして2015年には兵庫県姫路市で中学3年生の女性をナイフで刺し、逮捕。傷は肺にまで達するほど深く、懲役10年の実刑判決が言い渡され、岡山刑務所で服役中だった。当時の捜査関係者は話す。

「勝田容疑者の両親は兵庫県警に勤務していた。2015年の事件で容疑者として浮上した時、さすがにこんなひどいことはしないだろうという思いこみが捜査員にあった。だが、防犯カメラなどで勝田容疑者の犯行で間違いないとなり、逮捕に踏み切った。勝田容疑者は母親に甘やかされて育ち、引きこもりからアニメオタクとなった。その趣味が高じ、とんでもない性癖があり、事件を繰り返すようになった」

いくら他人(「当時の捜査関係者」)の話だからといって、こういうトンデモ度の高い話を無批判的に援用するのは止めた方がいい<今西憲之 「母親に甘やかされ」る→「引きこもり」→「アニメオタク」→少女の腹部を刺す犯罪という時系列的な流れを、全然何も引っかからずにスムーズに受け入れるということが信じられない。「アニメオタク」と犯罪の間には、「その趣味が高じ」とあるので、明らかな因果関係を認めていることになる。「アニメオタク」の延長線上に勝田の犯罪があると言っているんだよ。そういうことを言うためには、どのような「アニメ」のどのような部分がどのような仕方で勝田の「性癖」を変化させ、どのような仕方で実際の犯行に影響を与えたのかを具体的に検証しなければいけない筈だけど、多分この「捜査関係者」も今西憲之もそんなことをするつもりは一切ないのだろう。多分、ここにおける「アニメオタク」というのは、ここから先は思考を停止するよという合図として機能しているのだろう。酷いこと、不可解なことを仕出かした人が出現したときに、あいつ「アニメオタク」だからあんなことやったんだよと原因らしきものを差し出されて納得してしまうようなナイーヴな人が今どきそんな沢山いるとは思えないけれど、とにかくそういうナイーヴな人を想定して、言葉を綴っているということなのだろう。また、明らかなのは、今西憲之自身もそういうナイーヴな人だということだ。とにかく、ここでいう「アニメオタク」というのは、熱湯浴のいう在日、或いは(昔気質の)左翼がいうブルジョア等々と機能的に等価である。