『ハフィントン・ポスト』(『朝日新聞』)の記事;
「私は90年代の半ば頃に、グローバルなユース・カルチャーの基調が何時の間にか(パンクを含むロック)からヒップホップに変わっていることに気づいたということがあります」と書いたのは2011年のことだったけど*2。とはいっても、ギブソンのギターを愛用したのはロックンローラーだけではない。エレキ以前にアコースティック・ギターのメーカーだったわけで、ギブソンの初期の歴史というのはブルースというジャンルの歴史と重ねると言っていいのでは? また、最初のエレキ・ギターはジャズ・ミュージシャンのために開発されたわけで、ウェス・モンゴメリーにしてもジョー・パスにしても、或いはジョージ・ベンソンにしても、ジャズ・ギターといえばギブソンということになる。
2018年05月02日 10時14分 JST | 更新 12時間前
ギター老舗ギブソン、破産法申し立て ロック音楽の低迷で市場縮小
不採算事業から撤退し、楽器ビジネスに専念するとしています。
朝日新聞社提供
ギター老舗ギブソン、破産法申請 不採算事業から撤退へ
高級エレキギターで知られる米楽器大手ギブソン・ブランズ(本社・テネシー州ナッシュビル)は1日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を米裁判所に申し立てた。事実上の経営破綻(はたん)で、負債は最大5億ドル(約550億円)。これを機にオーディオ機器などの不採算事業から撤退し、ギターを含めた楽器ビジネスに専念するとしている。
米国の音楽市場では、ギターをあまり使わない「ヒップホップ」が人気を集める一方、ロック音楽が低迷し、エレキギター市場も縮小傾向が続いていた。ギブソン*1は「ギブソン・ギター」から社名を変えてビジネスを多角化。オランダ・フィリップスのオーディオ事業や、日本の音響機器会社ティアックなどの買収を重ねたが、負債が膨らんで経営を圧迫していた。
今後は、債権者に株式の持ち分を渡すなどして債務を整理する。近く支払期限が来る主要債権者の69%が再建案に同意しているという。ヘンリー・ジャスキビッツ最高経営責任者(CEO)は「中核ビジネスの楽器に再び集中すると決めたことで、経営は長期的に安定すると信じる」とコメントした。
ギブソンは1894年創業の老舗で、エレキギターでは米フェンダーと並ぶ有名ブランド。エリック・クラプトンやジョン・レノン、「レッド・ツェッペリン」のジミー・ペイジら、世界の著名ミュージシャンがギブソン製ギターを愛用し、日本にもファンが多い。
◇
ギブソン傘下のティアック(本社・東京都)は「詳細を把握しておらず、当社株の持ち分比率が維持されるのかも不明だが、想定される当社への影響はわずかだ」とするコメントを出した。通常通りの営業を続けるとしている。(ニューヨーク=江渕崇)
(朝日新聞デジタル 2018年05月02日 09時39分)
https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/01/gibson-guitars-going-bankrupt_a_23424908/
See also
“Gibson guitar manufacturer files for bankruptcy” https://www.yahoo.com/news/gibson-guitar-manufacturer-files-bankruptcy-193525844.html
Tiffany Kary and Emma Orr “Guitar Fans Fret As Legendary Maker Gibson Files for Bankruptcy” https://www.yahoo.com/news/guitar-fans-fret-legendary-maker-140204361.html
Amy X. Wang “Iconic Guitar Brand Gibson Files For Bankruptcy” https://www.rollingstone.com/music/news/iconic-guitar-brand-gibson-files-for-bankruptcy-w519726
Jem Aswad “Gibson, Iconic Guitar Company, Said to Be Nearing Bankruptcy” http://variety.com/2018/biz/news/gibson-iconic-guitar-company-said-to-be-nearing-bankruptcy-1202704143/
最後にマークしたのは、「破産寸前」という今年2月の記事。いちばん上に挙げたのは『デイリー・テレグラフ』の記事で、”Eric Clapton is a fan of Gibson guitars”というキャプション付きのエリック・クラプトンの写真が使われているのだが、その写真でクラプトンが弾いているのはフェンダー・ストラトキャスターなのだった。まあ、クラプトンのギブソン演奏で名高いのはビートルズの”While My Guitar Gently Weeps”なのだろうけど、これはジョージ・ハリソンに借りたもの。
「ギター」という楽器の歴史ということでは、北中正和『ギターは日本の歌をどう変えたか』*3をマークしておく。
ギターは日本の歌をどう変えたか―ギターのポピュラー音楽史 (平凡社新書)
- 作者: 北中正和
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 新書
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*1:http://www.gibson.com/ See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090814/1250217441 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090509/1241835150
*2:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110121/1295579790 Also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20110518/1305646371
*3:Mentioned in http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20100706/1278383335