「瞬間密封」

山田敦士「究極の記念写真、カップルを瞬間密封!!」http://www.asahi.com/and_M/gallery/sh_171024/


抱き合うカップルを「大型の圧縮袋」に入れてしまう写真家、PHOTOGRAPHER HAL*1の作品。


大型の圧縮袋に入った2人を瞬間密封して撮るシリーズは、新鮮な「愛の絶頂」を一瞬で閉じ込めた作品として海外で高い評価を獲得。美術館の企画展やアートフェアからの招待も多く、アメリカ、台湾、ベルギーでの個展開催のほか、ブラジルからは広告写真の依頼も舞い込んできた。特に国外で注目を浴びているのは、LOVEを密封するという「“見た目のわかりやすさ”と、“誰の作品にも似ていないオリジナルな表現”が理由では?」と語るHALさん。

 16年に発売した写真集「FLESH LOVE RETURNS」では、参加するカップルに「生涯に1枚だけ記念写真を撮るなら、場所はどこ?」という質問を事前に行い、2人がいつも生活する部屋や初めてデートしたお店など、被写体の希望する場所で撮影を行った。

 奇妙だけど、どこかポップさを感じるHALさんのカップル記念写真。いちゃいちゃしたり、ケンカしたり、笑い合ったり……。離れても、またくっついてしまう2人は、ひょっとしたらもともと一つの存在だったのかもしれない。自分とは異なる誰かを求めてしまう、終わりない永遠のドラマを一瞬で閉じ込めた作品は、きっと「究極の記念写真」に違いない。

共有された時間(瞬間)のフリーズ・ドライ。というか、あらゆる写真は(シャッター速度によって、その幅は様々だが)「瞬間密封」された過去の瞬間の痕跡と言えるだろう。