セックス・ロボット論争(メモ)

昨年と一昨年の記事なのだが、何故か『ニューズウィーク』(日本版)のサイトのアクセス・ランキングの上位になっている;


高森郁哉「年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁止を呼びかけ」http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/09/post-3929.php *1
高森郁哉「【セックスロボット】数年以内に「初体験の相手」となるリスク、英科学者が警鐘」http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5344.php


最初の記事に謂う、セックス・ロボットの「禁止を呼びかけ」た「英研究者」は倫理学者のKathleen Richardsonさん*2。彼女によれば、「セックス・ロボット」は「売買春(prostitution)」をモデルに設計されており、女性のモノ化を促進するという*3。それに対して、HCIとAI研究者のKate Devlinさん*4は、従来の性規範に捉われない、従来の性規範を相対化するような「セックス・ロボット」の開発は可能であることを説く*5。ストレートなフェミニズムとダナ・ハラウェイ的なサイボーグ・フェミニズム或いはクイア思想との対立といっていいだろうか。また、上掲の2016年の記事で言及されているDeborah Orr*6 “At last, a cure for feminism: sex robots”*7もストレートなフェミニズムからの反対論で、男性中心主義的に設計されたセックス・ロボットが流通することによって、それが規範になり、今度はリアルな女性に対するセックス・ロボットのように振る舞えというプレッシャーが強化される、云々。
「警鐘」を鳴らす「英科学者」はNoel Sharkey氏*8。彼が憂慮しているのは、ロボットという私を愛し返してくれることが不可能な存在に対して(初期の)「愛着(attachment)」を抱いてしまうことによる人格へのダメージ。なので、彼は(日本及び韓国で既に開発されているという)保育ロボットについても懸念している*9。この問題に関しては、かなり以前に盛り上がったオタクと「二次元キャラ」との「結婚」を巡る議論を蒸し返してみるのも意味があるのではないか*10。或いは、是枝裕和の映画『空気人形』。

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See also
神庭亮介「もしラブドールが「妊娠」したら…芸大院生が本当に伝えたかったこと」http://withnews.jp/article/f0160421002qq000000000000000W01110101qq000013301A *11