Going Passive

日本経済新聞』の記事;


進む大学生の「受け身」志向 大学の授業改革と逆行 ベネッセ調査

2017/8/9 20:04

 ベネッセ教育総合研究所(東京都多摩市)は9日までに、大学生の学習や生活の実態調査をまとめた。大学がディスカッションなど主体的・対話的な授業を増やす改革を進める一方、学生側の学ぶ姿勢は逆に受け身になっていた。同研究所は「授業改革の方向性は正しいが、学生の気質を変えるに至っていない」と分析している。

 調査は2008年から4年おきに実施しており、今回は16年11月から12月にかけて全国の大学1〜4年生約5000人を対象に行った。

 大学で経験した授業に関する問い(複数回答)では、グループワークをする授業を経験した学生が71%。08年に比べて18ポイント増えた。プレゼンテーションをする授業は67%で16ポイント増。授業に取り組む態度(同)を聞くと、グループワークなどで「異なる意見や立場に配慮する」とした学生が67%で14ポイント増、「意見を言う」と答えた学生は59%で12ポイント増えた。

 一方で、学習の方法を「授業で指導を受ける」と「自分で工夫する」のどちらがよいかを尋ねると、51%が前者を選んだ。この数字は08年から11ポイント増えた。学生生活についても「学生の自主性に任せる」より「教員が指導・支援する」方がよいと考える学生は38%で、08年を23ポイント上回った。

 「あまり興味がなくても単位を楽にとれる授業がよい」と答えた学生の比率は8年前より13ポイント多い61%だった。大学選択で重視する点(同)として「興味のある学問分野があること」を挙げた学生は54%と10ポイント減少した。

 松本留奈研究員は「学生の依存的な傾向が強まっている」と指摘。そのうえで「学生の気質には社会や経済などいろいろな要素が影響する。(授業改革で)学生の気質を変えるのには時間がかかる」と指摘する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG08HAX_Z00C17A8CR8000/

NHKも報道しているのだけれど、言葉遣いが曖昧で、とてもわかりにくかった;

いまどきの大学生「大学に面倒を見てほしい」

8月13日 4時27分


大学生に自分の大学生活について聞いたところ、「満足している」と答えたのは全体のおよそ半数にとどまり、8年前より減った一方で、大学に学習や生活について「面倒を見てほしい」と考える学生は増えていることが民間の研究所の調査で明らかになりました。

この調査は大学生の学習や生活実態の変化を探るため、民間の研究所が平成20年から実施していて、今回は去年11月から12月にかけて、全国の大学生およそ5000人からインターネットで回答を得ました。

このうち自分の大学生活について聞いたところ、「満足している」と回答した学生の割合は51.1%で、8年前の調査結果より13ポイント減りました。

これに対して、大学での学習について「大学で指導を受けるのがよい」と答えたのは50.7%で、8年前より11.4ポイント、さらに、大学生活について「大学の教員が指導・支援するほうがよい」と答えたのは38.2%で、こちらも22.9ポイント増えていて、大学に面倒を見てほしいと考える学生が増えていることがわかりました。

調査したベネッセ教育総合研究所は「学びたいことがあいまいなまま入学する学生が増えている。大学による支援も必要だが、学生にみずから学ぶ姿勢を身につけさせる教育も大切だ」と話しています。


支援に力を入れる大学も
大学も学生たちの支援に力を入れています。埼玉県上尾市にある聖学院大学は、「面倒見のいい大学」を掲げ、学生の学習面を手厚くサポートしています。

学生たちに勉強のしかたやレポートの書き方などを教える「ラーニングセンター」を設置しているほか、教員1人が学生10人ほどを受け持ち、授業の出席状況をこまめにチェックしたり、学生生活の悩みに応じたりする体制を整えています。

清水均副学長は「大学にも少子化の中で学生を集めたいという事情はあるが、ただ大学に頼るのではなく、課題を克服する気持ちを持ってほしい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170813/k10011098201000.html

ジェンダー、専攻或いは大学の難易度といった違いによって、傾向も随分変わってくるのだろうね。そういう差異を見るためには、やはりオリジナルの調査報告書を読むしかないか。
この調査が2008年から始まったということなので、それ以前が考慮されていないというのも仕方がないことではあるが、それ以前の研究というのはないのだろうか。大学生の「受け身」化というのは、遅くとも1960年代の大学闘争(全共闘運動)が終息して以降、変化の速度に緩急はあるにしても、徐々にそうなっていったように思う。個人的感想という準位においては(大学関係者を中心に)けっこう多くの人がコメントしている筈。私も「生徒化」という仕方でかなり以前に語っていたかと思う*1