あべくま

巨人ファンの人にとって、シンノスケというと、「野原」*1ではなくて、やはり「阿部」なのだろうか。

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

村上春樹「動物園のツウ」(in 『雑文集』、pp.381-384)に曰く、

もう五年くらい前のことだから、まだいるかどうかはわからないのだけど*2、そのとき我々が東山動物園で見たマレーグマは、読売巨人軍阿部慎之助捕手に本当によく似ていた。本物の兄弟じゃないかと思うくらい――たぶん違うと思うけれど――顔がそっくり瓜二つだった。僕も吉本さん*3もヤクルト・スワローズのファンだし、決して読売巨人軍に好意を持っているわけではないのだが、その阿部慎之助似のマレーグマはとても愛嬌があって可愛かった。それで吉本さんはそのマレーグマに向かって「おい、しんのすけしんのすけ」とずっと呼びかけていた。そのほかいろいろなことを親しげに話しかけていた。なんだか昔の親しい友だちに久しぶりに出会ったみたいに。マレーグマは賢い動物だからむろんそんな無益なことには関わり合いにならず、自分のなすべき作業をクールに続けていた。横にいた若いカップルは気味悪がってすぐ違うところに行ってしまった(気持ちはなんとなくわかる)。(pp.383-384)
まあ阿部慎之助というのは、巨人だし、安倍晋三を連想させるし、例えば古寺多見氏*4に向かって、あべしんのすけ! と叫べば、多分パニクってしまうだろう。