「人の人生を狂わすのは面白い」

承前*1

タリウム娘」裁判を巡って。
毎日新聞』の記事;


<元名大生公判>「観察が目的」に検察側「殺意あった」

毎日新聞 2/2(木) 21:14配信


 ◇高校生2人にタリウム 弁護側は殺意や責任能力を否定

 名古屋市で高齢女性を殺害し、仙台市で同級生らに猛毒の硫酸タリウムを飲ませたなどとされる元名古屋大学生の女(21)=事件当時16〜19歳=の裁判員裁判は2日、殺人未遂罪に問われた2件の硫酸タリウム事件の審理が名古屋地裁(山田耕司裁判長)で始まった。検察側、弁護側双方とも「中毒症状の観察が目的」としたが、検察側は殺意があったとして経緯を詳しく主張し、弁護側は殺意や責任能力を否定した。

 検察側は冒頭陳述で元学生がタリウムの半数致死量(投与された人の半数が死亡する量)は1グラムと事前に調べた上で高校2年時の2012年、中学時代の同級生の女性に1回で約0.8グラム、同級生の男性に2回に分けて計約1.2グラムをそれぞれ飲み物に混ぜて飲ませたと指摘した。

 2人を狙った理由は「(中毒症状を)観察しやすく投与しやすい相手だった」とした。元学生が女性を「転校するのでしばらく会えない。どうしても今日会いたい」とうそのメールで呼び出し、教室で自分1人になる口実をつくって男性のペットボトルの水に硫酸タリウムを混ぜたとして計画性を強調した。

 また、元学生が同年6月上旬以降、自分の行為がばれたと思い、逃走の資金を準備したりルートを調べたりしたほか、タリウムを飲ませた2人の観察結果を書いたノートを同級生に見られ、捨てていたことも詳述した。

 さらに検察側は被害女性の供述調書を読み上げた。女性は「数ある友達の中で自分を(久しぶりに)誘ってくれたことがうれしかった」と当日を振り返り、翌日から中毒症状が始まると元学生が体調を気にするメールを送ってきたほか、入院中に見舞いに来たと話していた。その上で「実験台にされたことは許せないし、悔しい。人間ができることでない」と述べていた。

 法廷で元学生は、事件で使用したとされるタリウムの入った瓶を検察官に示され「欲しいという気持ちもあるし、持っていれば使うかもしれないという不安もある」と話した。

 一方、弁護側は元学生が発達障害双極性障害(そううつ病)の影響で、被害者が死亡する可能性が高いということを思い起こさなかったとして殺意を否定した。「衝動に突き動かされたもので計画的とは評価できない」とも主張した。【金寿英、山本佳孝】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170202-00000105-mai-soci&pos=1


<元名大生公判>「人の人生を狂わすのは面白い」メール示す

毎日新聞 2/7(火) 21:47配信


 ◇検察側、妹に送ったメール12通の内容示す

 名古屋市で高齢女性を殺害し、仙台市で高校の同級生ら2人に硫酸タリウムを飲ませたなどとされる元名古屋大学生の女(21)=事件当時16〜19歳=の裁判員裁判で、検察側は7日、2014年12月7日の女性殺害前後に元学生が妹に送っていたメール12通の内容を示した。「人の人生を狂わすのは面白い」などと記していた。

 検察側は名古屋地裁(山田耕司裁判長)の公判で、元学生が14年10月10日から女性殺害直後の同12月7日午後までに妹に送信したメールを読み上げた。捜査当局が妹の携帯電話を押収して解析し、明らかになったという。

 メールでは、高校2年時の12年に硫酸タリウムを飲ませたとされる同級生の男性について「懐かしい」と記載していた。さらに「今のところ殺人未遂なら何回かあるけど殺人はないんだよな」「人なら誰でもいい」「未成年のうちに絶対殺(や)ってやるから」と書いていた。

 また、仙台市の元学生の実家から「2個体での実験の結果 神経炎 胃腸炎 手足のしびれ 脱毛の確認(硫酸タリウム)」と記されたノートが見つかっていたことも明らかにした。タリウム中毒になった2人の症状を記録したとみられる。

 このほか検察側は、元学生の父親の調書も朗読した。それによると、父親は元学生が高校2年の春ごろから薬品を購入していたことを妹に聞いて把握し、パソコンの検索履歴から元学生がインターネットで猟奇殺人や毒物について調べていたことに気付いていた。

 父親は調書で「薬品を取り上げ、警察にも相談した」「(元学生は)高校2年の終わりごろから成績が急に良くなり、薬品やナイフに興味を持たなくなったと思ったが、その後、上着のポケットに折りたたみナイフが入っていてがっかりした」などと述べていた。【金寿英】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170207-00000133-mai-soci


<元名大生公判>同級生の中毒症状「興奮」 仙台でタリウム

毎日新聞 2/9(木) 21:48配信



 名古屋市で高齢女性を殺害し、仙台市で同級生ら2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたなどとされる元名古屋大学生の女(21)=事件当時16〜19歳=の裁判員裁判は9日、名古屋地裁の公判でタリウム事件に関する被告人質問があり、元学生は被害者に中毒症状が出たのを知った際に「興奮した」と述べた。一方で「早く反省しなくてはならないが反省がピンとこない。もどかしい」と語った。

 9日は弁護側が質問した。元学生は硫酸タリウム入手時の思いを「うっとりした」と話し、中学時代の同級生女性(21)を狙った理由を「どうしても人にタリウムを投与したくなった。日曜で友人なら自然に呼び出せると思った」と説明した。女性とのメールのやりとりで脱毛や手足のしびれ、腹痛などの中毒症状が出たのを知り「一つの症状が出ただけでも興奮し、とても感動した」と振り返った。

 高校の同級生男性(20)は教室の席が隣でペットボトルを持っていたため、事件の数週間前から「タリウムを入れやすそうだと空想していた」と明かした。男性のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の日記を閲覧し、学校の先生から様子を聞いて、中毒症状を観察したという。男性は学校を約1カ月休んで登校したが「人間にはタリウムの耐性ができるかもしれないと思い、2回目に投与したらどうなるか興味が湧いて」再び飲ませたとした。

 また、男性に最初に硫酸タリウムを飲ませた2日後、高校の無人の教室で別の同級生の水筒に硫酸タリウムを混ぜたことを明らかにした。「透明な容器で溶けずに残ったため、飲んでくれないと思って捨てた」と話した。

 混入後、「自分がしたことは(警察に)捕まることと実感した」という。「(2人は)死ぬ可能性はあったと思う。(公判で)初めて被害者やその家族の考えを知った」と述べた。人にタリウムを投与してはいけないのは「分かります」としたが、今もタリウムを手元に置きたい気持ちがあるか問われ「あります」と答えた。

 被告人質問に先立ち被害男性が証人として出廷した。体調の異変に気付いたのは最初の混入後の2012年6月6日ごろで、その約1週間後には「朝起きると抜けた髪が枕にびっしりついていた」と語った。腹部や脚の痛み、視力低下などの症状が出て、2回目の混入後は悪化したと述べた。

 視力は現在も0.01〜0.02で、拡大読書器で5倍に拡大した宣誓文を、目を近づけて読んだ。高校時代、理系の仕事や研究に携わるのを目標としていたが特別支援学校への転校を余儀なくされた。「目標や夢を台無しにされ、苦しい気持ちでいっぱい。(元学生は)一生刑務所に入って罪を償ってほしい」と語った。今ははり・きゅうを学んでいるという。【金寿英】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170209-00000112-mai-soci

弁護側も多重人格(同一性乖離症候群)*2とかで攻めれば裁判に勝つ見込みがあるかも知れないけれど、「双極性障害」云々*3とか言っているようでは駄目だね。さて、興味深いことに、彼女は弁護人質問に対して、犯行後に「(警察に)捕まることと実感した」と答えている。弁護側の主張に反して、彼女に「責任能力」があったことの証拠になっている。彼女は自分のやらかしたことと将来における警察に捕まる可能性との間の因果関係を的確に把握していたわけだ。でも、上に示した記事を読んで、彼女は非人間的(反人間的)なモンスターなんかじゃないということも確信した。彼女と私たちは連続している。彼女は私たちが潜在的に有している或る禍々しき可能性の極端を生きてしまったわけだ。彼女が無罪になるなら所謂戦争犯罪人の多くは無罪になると思う。731とか。