「職業不詳」?

和歌山県で「土木建築会社」というと、少なからぬ人が中上健次*1を思い出すのでは? でも、今回の事件の舞台は新宮ではなく、かつて熊野地方を野蛮な異域と見做していた和歌山のご城下。
朝日新聞』の記事;

経営者次男を殺人容疑などで指名手配 和歌山の発砲事件

2016年8月30日01時47分

 和歌山市塩屋1丁目の土木建築会社「和大(わだい)興業」で、29日に従業員4人が死傷した拳銃発砲事件で、和歌山県警は同日夜、同社経営者の次男で職業不詳の溝畑(みぞばた)泰秀容疑者(45)について殺人と殺人未遂容疑で逮捕状を取り、全国に指名手配した。同日午後には現場から北東約3キロの駐車場で逃走に使われた可能性がある車を発見。和歌山西署に110人態勢の捜査本部を置き、行方を追っている。


 県警によると、溝畑容疑者は29日午前8時50分ごろ、従業員男性4人の腹部などを拳銃で相次いで撃ち、石山純副(じゅんすけ)さん(45)=和歌山市小雑賀(こざいか)=を死亡させ、44歳の男性を意識不明の重体、43、46歳の男性に重傷を負わせた疑いがある。長袖、長ズボンで黒っぽい服装だったという。

 この日午後、県警はJR和歌山駅東側にあるカラオケ店の駐車場で、事件後に行方不明になっていた同社の白い乗用車を発見。同社付近の防犯カメラには、事件直後に同社から徒歩で南へ向かう溝畑容疑者に似た男の姿が映っており、JR和歌山駅付近の防犯カメラにも似た男が映っていた。県警はこの車で逃走した可能性があるとみて、調べている。

 関係者によると、溝畑容疑者は和歌山県内の道路工事などで現場の主任技術者を務めていたことがあるという。また、同社と役員が重なる和歌山県田辺市の土木会社で監査役に名を連ねていたこともあるという。

 県警によると、溝畑容疑者は社内の会議室で従業員らと話し合い中、かばんから拳銃を取り出し、急に発砲したとみられ、社内で何らかのトラブルがなかったか、関係者らから事情を聴いている。

 和歌山市教委によると、公立の学校は夏休み中だが、事件を受け、現場が校区内にある市立西浜中学校は、登下校時などの安全確保のため、31日まで校内での部活動を中止すると決めた。現場から北西約700メートルにある市立高松小学校では30日に学童保育が午前8時〜午後6時半にあるが、市教委青少年課は「行かせるかどうかは保護者の判断」と説明している。
http://www.asahi.com/articles/ASJ8Y61JJJ8YPTIL02L.html

この事件が意味することは先ず、日本の治安を支えていると内外で評価されている日本の厳格な銃規制が少し緩んでいるということだろう。
さて、最近気になっているメディアの言葉遣いに「職業不詳」というのがある。最近、埼玉県の東松山だったかで、16歳の少年がリンチの末に都幾川で溺死させられるという事件があった。要するに、埼玉版〈川崎国〉事件*2だったわけだが、その被害者の少年も「職業不詳」という肩書を被せられていた。その少年の「職業不詳」は、家族の彼に対する関心の薄さを反映しているように思った。だって、同居している未成年の子女が何をしているのかなんて、家族に訊けば直ぐにわかることだろうし、それにも拘らず「職業不詳」というのは家族の彼に対する無関心というかほっぽらかしの表れでしかないんじゃないかと思った。
和歌山の「職業不詳」はどうなんだろか。その意味はわからない。「社内の会議室で従業員らと話し合い中」にずどん! だったわけでしょ。常勤か非常勤かは知らないけれど、この溝畑泰秀というおっさん、この会社の従業員或いは役員だったのでは? いくら社長の息子とはいえ、部外者が「社内の会議室で従業員らと話し合い」するわけないじゃん。それに続いて、(警察は)「社内で何らかのトラブルがなかったか、関係者らから事情を聴いている」とある。これって、溝畑泰秀が〈中の人〉だということを前提にした書き方じゃないか。どうして、会社との関係を隠そうとするのかわからない。
ところで、この溝畑泰秀の顔って、何処かで見たような気がする。でも、まあ中年の亜細亜人としてはすごくありふれた顔で、この手の男というのは東亜細亜日中韓)には腐る程いる可能性もある。