『ジェンダーで学ぶ社会学』

ジェンダーで学ぶ社会学

ジェンダーで学ぶ社会学

伊藤公雄、牟田和恵編『ジェンダーで学ぶ社会学*1を最近読了。


0 ジェンダーの視点から現代社会を読む(伊藤公雄
1 生まれる――つくられる「男」と「女」(伊藤公雄
2 学ぶ――学校にひそむセクシズム(木村涼子)
3 愛する――恋愛というトリック(牟田和恵)
4 行為する――行為とジェンダー田崎英明
5 働く――ジェンダーと労働(金谷千慧子)
6 家族する――マニュアル家族をこえて
7 演技する――役柄としての〈男〉と〈女〉(松田恵示)
8 悩む――個人の悩みと社会問題(中河伸俊)
9 伝える――オルターナティブなメディアへ(小川真知子)
10 遊ぶ――スポーツがつくる「らしさ」(西山哲郎)
11 闘う――フェミニズムの思想と運動(伊田久美子)
12 越境する――国際社会とジェンダー(大橋由香子)
13 老いる――高齢者問題と女性問題(筒井琢磨)
14 死ぬ――人生のターミナル(井上治代)


BOX1 男でも女でもなく(蔦森樹)
BOX2少年マンガジェンダーヨコタ村上孝之
BOX3マスキュリズム(男性解放論)宣言(フーゴ・デ・ガリス)
BOX4 カップル単位からシングル単位へ(伊田広行
BOX5 性差別と言語表現(武田春子)
BOX6 ホラー映画のなかの女性(石元清英)
BOX7 多文化社会の若者――人種とジェンダーの交差(ヨコタ村上 ジェリー)


人名索引
事項索引

この本が刊行されてから既に20年近く経つわけだが、この本で示されていることは大まかなレヴェルでは妥当性を保っているといえるだろう。
ジェンダーの視点」を巡って、 伊藤公雄氏曰く、

(前略)ジェンダーという視点の導入は、これまで「あたりまえ」だと思っていたわれわれの生きる世界に一種の亀裂を入れることができるということだ。「男はこう」「女はこう」という固定的な枠づけが社会や文化の産物だというジェンダーの視点は、これまでこの枠組みにとらわれてきたわれわれの「常識」の世界への「疑い」や「批判」を生みだすことになる。そして、このことは、そのまま、社会学という学問の魅力につながることでもある。社会学を「する」うえで最もおもしろい作業は、社会生活のなかでふだんは気づかれていない問題にメスを入れることで、問題の所在を「みえる」ようにすることだと思う。この社会学のおもしろさが、ジェンダーの視点と結びつくと、さらに輝きを増すのだ。社会学は、ジェンダーの視点をとりいれると、いっそうそのおもしろさと輪郭とがはっきりしはじめるといいかえてもいいだろう。(「ジェンダーの視点から現代社会を読む」、pp.13-14)
この本の特徴は各章のタイトルが動詞になっていること*2、誕生から死に至る「ライフコース」を辿る構成になっていることだろう。因みに、この本の前年に出た社会学のテキスト、『ソシオロジカル・クエスト』(張江洋直、佐野正彦、井出裕久編)*3も「ライフコース」的な構成を採っている。
ソシオロジカル・クエスト―現実理解の社会学

ソシオロジカル・クエスト―現実理解の社会学