「更年期」と「厄年」(メモ)

開発と健康―ジェンダーの視点から (有斐閣選書)

開発と健康―ジェンダーの視点から (有斐閣選書)

青山温子、原ひろ子、喜多悦子『開発と健康 ジェンダーの視点から』*1から。
「そもそも、「病気か健康か」という概念もきわめて文化的なものである」ということで。


たとえば、更年期障害は、社会によっては存在しないことが知られている。すなわち閉経前後の一定期間に女性が心身の障害をもつという考え方がある社会とない社会があり、症状も文化によって異なってくる。日本では従来、更年期障害という考え方はなく、何か症状があっても閉経とは関連づけず、厄年のような年回りのせいとしていた。近年でも、閉経前後の症状は不定愁訴と捉えられ、必要に応じて対処療法を行う程度にしか対応されてこなかった。最近になって、経済状態の向上や少子高齢化など社会状況の変化により、医療供給側も患者側も、更年期障害を積極的な治療対象となる病気と認識して対処している。(p.164)
さて、最近では、「更年期」*2という概念はジェンダーを超えて、男性にまで拡張されている(See eg. 赤塚悦子『明るく乗りきる男と女の更年期』)。これって、もしかして「厄年」観念への回帰なのか。
明るく乗りきる男と女の更年期 (講談社現代新書)

明るく乗りきる男と女の更年期 (講談社現代新書)