没リヌス

朝日新聞』の記事;


無届けでボツリヌス毒素運搬 化血研、量確認怠り計4回

籏智広太

2015年12月19日09時27分


 化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)は18日、非常に強い毒性を持つボツリヌス毒素を熊本県への届け出をしないまま運んでいたと発表した。届け出が必要な量かどうかの確認を化血研が怠ったという。

 発表によると、無届けだったのは今年10月の1回と2007年10〜12月の3回。県内の事業所間で運んだというが、詳しい使途や事業所の場所、移動方法や量は明らかにしていない。漏洩(ろうえい)や紛失は確認されていないという。

 感染症法では、危険性の高い病原体などを運搬する際、事前に各県の公安委員会に届けるよう義務付けている。ボツリヌス毒素の場合、0・1ミリグラムを超えると届け出が必要という。

 化血研ではボツリヌス抗毒素製剤を作っている。今月7日、化血研内部の「特定病原体等安全管理委員会」が10月分の無届けを発見。厚生労働省に報告するとともに、過去にさかのぼって調べていた。

 化血研では血液製剤を40年以上、不正に製造していたことが判明している。(籏智広太)
http://www.asahi.com/articles/ASHDL5WYRHDLTLVB00Q.html

何だか妙な偶然。ボツリヌスということで先ず多くの人が思い出すのは、1984年に発生した熊本の辛子蓮根食中毒事件だろう。また、熊本県出身の麻原彰晃率いるオウム真理教ボツリヌス菌生物兵器として使おうとして失敗した、熊本県関係者の方々には大変申し訳ないのだけれど、「ボツリヌス」と熊本には変な偶然的結びつきがある。
さて、「ボツリヌス毒素」というのは自然界最強の毒素といわれる。にも拘らず、私たちがけっこうのほほんとしていられるのは、ボツリヌス菌が嫌気性菌であり、普通の大気に含まれる濃度の酸素に曝されると死んでしまうからだだろう。尤も辛子蓮根の場合は、真空パックの中でボツリヌス菌が生き延びてしまったわけだけど。勿論、今回問題になっているのはボツリヌス菌ではなくその産物である「毒素」であり、空気に曝されたからといって無毒化するわけではない。
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木村浩一「恐怖のボツリヌス菌http://www.iph.pref.hokkaido.jp/charivari/2005_02/2005_02.htm