「破傷風」

村上宏「土いじりする時は破傷風菌に注意 治療困難、高い死亡率」https://www.asahi.com/articles/ASL5R52YSL5RUBQU00Q.html


2018年の記事。


原因となる破傷風菌は、世界中の土壌を含め、ありとあらゆる所にいます。熱や乾燥、消毒薬にも強く、日常生活において破傷風菌との接触を完全に防ぐことは不可能とされています。破傷風は、おもに土の中にいる破傷風菌が傷口などから体内に入ることで発症します。深い刺し傷が原因になることが多いのですが、やけどや浅い傷でも発症し、どこから菌が侵入したのかわからない人もいます。2011年の東日本大震災の際には、10人が破傷風を発症しましたが、うち2人には明らかな外傷はありませんでした。

 破傷風菌が傷口から体内に侵入し増殖すると、傷口が治る頃に「テタノスパスミン」という毒素を産生します。この毒素はボツリヌス毒素に次いで、地球上で2番目に強力な毒性を持つとされ、1グラムが成人約6千万人の致死量に相当するそうです。テタノスパスミンはさまざまな神経に作用し、全身の筋肉を硬直させます。

 破傷風菌が体内に入ると、3~21日間の潜伏期間の後、症状が現れます。はじめは口が開けにくくなることが多く、やがて体中の筋肉が硬直し、全身のけいれん発作を起こすようになります。症状は激烈で、治療が十分できなかった昔は、筋肉の硬直があまりに強いために、背骨が折れてしまう人もいました。呼吸ができなくなってしまうこともあります。その様子は、芥川賞作家の三木卓が1975年に発表した小説「震える舌」で描き、のちに映画化されました。

しかし、

ワクチンの注射によってほぼ100%予防が可能で、1968年に子供を対象に予防接種が行われるようになってから、患者数は大幅に減少しました。しかし、ワクチンの効果はおおよそ10年とされています。実際、破傷風を発症した人の多くは、ワクチンの効果が切れてしまった中高年世代です。

 ワクチンは追加接種ができます。子供の頃に予防接種を受けた人は、10年に1回の間隔で追加接種を行うと、予防効果を維持できます。予防接種を受けていない人や、受けたかどうかわからない場合は、間隔をあけて計3回の接種を行います。破傷風ワクチンは、多くの医療機関で実施可能ですが、ワクチンの取り寄せなどに準備が必要なため、あらかじめ問い合わせの電話をしておくことをお勧めします。

 追加接種のワクチンは全額患者負担の自費診療で、料金は各病院がそれぞれ独自に設定していますが、1回5千円程度の所が多いようです。

小学生の頃、休みの前になると、学校では、ハショーフーは恐ろしいので古釘などを踏み抜かないように! と繰り返し言われた。そのため、「破傷風」という感じ表記を覚える以前にハショーフーという音を、とても恐ろしいものを意味するものとして覚えてしまったのだった*1