金子國義

画家の金子國義さん*1が東京都品川区の自宅にて急死。享年78歳。
先ず『朝日』の記事;


画家の金子國義さん死去 退廃的な雰囲気の人物の絵

2015年3月17日13時22分


 画家の金子國義(かねこ・くによし)さんが亡くなったことが17日、わかった。78歳だった。埼玉県出身。退廃的な雰囲気の人物の絵で知られた。評論家渋沢龍彦らの作品の挿絵も手がけた。
http://www.asahi.com/articles/ASH3K46PRH3KUCLV005.html

故人への尊敬も日本文化への愛情も感じさせないゴミのような記事。「退廃的な雰囲気の人物の絵で知られた」という思考を全く必要としない紋切り型の表現。そして、「渋沢龍彦」という表記で、私の心はぶっつりと切れてしまった。
『産経』;

不思議の国のアリス」の挿絵で知られる画家、金子国義さん死去

産経新聞 3月17日(火)14時5分配信


 絵本「不思議の国のアリス」や渋澤龍彦さんの小説や翻訳書の挿絵を手掛けた画家の金子国義(かねこ・くによし)さんが死去したことが17日、分かった。78歳。

 昭和11年、埼玉県生まれ。34年、日本大学芸術学部卒業。独学で描き始めた油絵が作家の渋澤龍彦の目にとまり、41年、渋澤の翻訳による「O嬢の物語」の挿絵を担当。世紀末的、退廃的な雰囲気を漂わせる画風で知られる。

 「ユリイカ」「婦人公論」の表紙絵を担当。浴衣や着物のデザイン、歌舞伎俳優、中村勘三郎さんの襲名披露口上の舞台美術も手掛けた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150317-00000530-san-cul

『朝日』の記事よりも約40分遅い。でも、その40分の違いは情報量の違いに反映されているということか。ただ、「渋澤」って何だよ?
『読売』;

甘美なエロス漂わす絵画、金子國義さん死去

読売新聞 3月17日(火)14時17分配信


 耽美(たんび)的な画風で知られた画家、金子國義(かねこ・くによし)さんが死去したことが17日、わかった。78歳だった。

 埼玉県生まれ。1964年から独学で油絵を描き始め、65年に作家・評論家の澁澤龍彦と出会い、澁澤訳の小説「O嬢の物語」の装丁と挿絵を担当した。甘美なエロスを漂わせた裸婦などの絵画や写真を発表。「富士見ロマン文庫」の装丁、雑誌「ユリイカ」「婦人公論」の表紙も手がけた。今年2月、初の自伝「美貌帖(びぼうちょう)」を出版したばかりだった。他の著書に絵本「不思議の国のアリス」など。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150317-00050104-yom-ent

時事通信

金子國義さん死去=「アリス」挿絵、78歳


時事通信 3月17日(火)15時5分配信

 耽美(たんび)的な作風で知られる画家の金子國義(かねこ・くによし)さんが16日午後、虚血性心不全のため東京都品川区の自宅で死去した。78歳だった。17日未明に家族が発見した。埼玉県出身。葬儀は近親者で行う。一般も参加できる通夜は20日午後6時から東京都大田区南雪谷2の1の7の公益社雪谷会館で。喪主は長男修(おさむ)さん。
 日大芸術学部卒。1964年ごろから油絵を描き始め、67年に個展「花咲く乙女たち」で画壇デビューした。妖艶な雰囲気を漂わせる人物画を得意とし、作家・澁澤龍彦の著作の装丁や絵本「不思議の国のアリス」の挿絵が代表作。雑誌「ユリイカ」「婦人公論」の装画でも知られた。
 舞台美術家としても、唐十郎状況劇場」の公演や、2005年には十八代目中村勘三郎襲名披露口上などを担当した。近年は浴衣のデザインなども手掛け、初の自伝が刊行されたばかりだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150317-00000088-jij-soci

大学に入って3か月くらい経った頃、銀座の裏通りをぶらついていて、或る画廊を覗き込んだら、エロいのだけどクールでエレガントな油絵に惹き付けられた。金子國義さんの個展だった。「金子國義」という名前を知ったのはそのときが初めてだった。
「耽美」的で「妖艶」な絵というと、昨年亡くなった米倉斉加年*2も思い出すのだが、米倉さんの絵は何というか、東亜細亜的な土着性を引き受けた湿ったエロティシズムであるのに対して、金子さんのはそのような土着の湿り気をドライヤーで乾かしてしまったクールなエロティシズムであるのだと思う。どうも、『朝日』並みの紋切り型の表現になってしまってごめんなさい。
See also

Cocochan*3「画家の金子國義さんが死去。ネットでは思い出の作品で偲ぶ」http://matome.naver.jp/odai/2142656631434929901
mayugetarou「画家の金子國義さんの関わったデザイン・油絵などの画像をまとめました。」http://matome.naver.jp/odai/2142658069153013701


ところで、『読売』の記事で言及されているポーリーヌ・レアージュ澁澤龍彦訳)の『O嬢の物語』(角川文庫)は実は私が最初に買ったエロ小説なのだった。

O嬢の物語

O嬢の物語