アウシュヴィッツに行かず

Ian Traynor “Putin avoids Auschwitz anniversary event amid tension with Poland” http://www.theguardian.com/world/2015/jan/13/vladimir-putin--poland-auschwitz-anniversary


今年はアウシュヴィッツ強制収容所*1が蘇聯赤軍によって解放されてから70周年に中り、当然記念のセレモニーも開かれる。しかし、今年のセレモニーは主役不在になる可能性が高い。露西亜プーチン大統領が式典に欠席することを表明した。理由はポーランド政府が招待しなかったから。しかし、式典はポーランド政府ではなく、露西亜代表も含む国際的な実行委員会の主催である。この背景には、ウクライナを巡る露西亜ポーランド間の緊張の昂進がある。それに対抗して、ポーランド(及びバルト3国)は5月9日にモスクワの赤の広場で開催される蘇聯対独勝利70周年式典への参加ボイコットを示唆している。
そもそも、どんなに蘇聯や社会主義或いは露西亜が嫌いな人でも、一部のネオナチ分子を除けば、蘇聯軍によるアウシュヴィッツ解放が歴史的偉業であることを否定する人はいないだろう。10年前の60周年セレモニーではプーチンが演説を行った。外交的駆け引きでポーランドや(その背後としての)EUを牽制して得られる利益と自らの偉業をアピールする機会を放棄することによるソフト・パワーへのダメージはどちらが大きいのか。