ピッケルの話

Julian Borger and Jo Tuckman “Bloodstained ice axe used to kill Trotsky emerges after decades in the shadows” https://www.theguardian.com/world/2017/sep/13/trotsky-ice-axe-murder-mexico-city


レフ・トロツキー*1は1940年8月20日墨西哥市郊外の寓居でスターリンが差し向けたFrank Jacsonと名乗る刺客によって虐殺された。
米国ワシントンにある「国際スパイ博物館」*2では、来年から、トロツキー殺しに凶器として使用されたピッケル(ice axe)が展示される。このピッケルは事件直後の墨西哥警察当局による記者会見で提示されたものの、その後、所在が分からなくなっていた。事件の数年後に墨西哥市の証拠品保管室でこのピッケルを見つけた秘密警察官のAlfredo Salasが家宝にしようと思って、自宅に持ち帰った。娘のAna Aliciaがこのピッケルを相続して、40年間自宅のベッドの下に保管していたが、経済的な理由から2005年に売りに出そうとした*3ピッケルを買い取ったのは、間諜史の研究家で「国際スパイ博物館」の理事であるKeith Melton氏だった。売却に際して、トロツキーの孫Esteban Volkov氏は鑑定のためのDNAサンプルの提供を要請され、Ana Alicia側にピッケル墨西哥市のトロツキー博物館に寄贈せよという条件を出したが、拒絶されている。
さて、刺客のFrank Jacsonだが、如何にも米国人という名前であるが、勿論偽名で、実は西班牙人。本名Ramón Mercader。熱烈なスターリン信者だった母親の命令で、トロツキー殺しを目指して、第四インターナショナルに潜入した。最初は白耳義外交官の息子Jacques Mornardと名乗っていた。 Mercaderはその後墨西哥の獄中で20年近く過ごすことになるが、スターリン、蘇聯共産党は彼の〈功績〉を忘れることなく、手厚い金銭的援助を与え続け、女まで宛がってやった。Mercaderは釈放後、蘇聯を経て、最後は1978年にキューバで、蘇聯に宛がわれその後結婚したRoquellaに看取られつつ、他界した。
さて、祖父虐殺を回想する孫のEsteban Volkov;


Jo Tuckman “Trotsky's murder remembered by grandson, 72 years on” https://www.theguardian.com/world/2012/aug/19/trotsky-last-day-by-grandson


トロツキーの最期ということでは、やはりジュリー・テイモアの映画『フリーダ』*4をマークしておく。

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