死せるスターリン、生けるプーチンの子分を走らす

Marc Bennetts “Russia considers ban on Armando Iannucci's film The Death of Stalin” https://www.theguardian.com/world/2017/sep/20/russia-considers-ban-armando-iannucci-film-death-of-stalin


露西亜文化部の高官Pavel Pozhigailoはヨシフ・スターリン*1の死とその余波をネタにした英仏合作映画『スターリンの死』*2露西亜での上映を禁止する意向を示した。彼によれば、こんな映画の上映を許可したら、共産党が何をやらかすかわからない。この映画自体が、露西亜にこのような混乱をもたらすための西側の陰謀なのだという。露西亜共産党*3なんて過去の遺物じゃねぇかと思っている人もいるかも知れないけれど、ところがどっこい、現在露西亜連邦議会においては野党第一党の地位を占めている。また、露西亜では、ウクライナやシリアを巡る西側との軋轢が強まる中、スターリンの人気も近年再上昇している*4。今年行われた露西亜史上における「最も傑出した人物」投票において、スターリンは堂々1位に輝いた。2位はウラディミール・プーチンと作家のプーシキン*5
露西亜では最近、ロマノフ朝最後のツァー、ニコライ2世の若き日の恋愛を描いたAlexei Uchitel監督の映画Matilda露西亜正教会の一部信者の怒りを買って、映画館が放火されるといったことが起きている。ニコライ2世は露西亜革命後にボルシェヴィキによって虐殺されたが、蘇聯崩壊後に正教会によって列聖されている。Matildaは外国映画ではなく露西亜映画*6
政治家の死とその余波ということで、映画化してほしいのは、スターリンのほかには、毛沢東の死と小渕恵三の死だな。テーマの性質上、映画よりも舞台劇やラヂオ・ドラマの方がいいのかも知れない。金日成の死はあまり面白くなさそう。それよりも、〈金日成が死んだ翌日の張愛玲〉の方が面白そう*7