松本健一

See also http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20141129/1417225107

松本健一*1が他界。享年68歳。
『毎日』の記事;


訃報:松本健一さん68歳=評論家 「評伝 北一輝

毎日新聞 2014年11月28日 15時00分(最終更新 11月28日 18時24分)


 近代日本の思想史、文学研究などで活躍した評論家の松本健一(まつもと・けんいち)さんが27日、亡くなった。68歳。年明けにお別れの会を開く。喪主は妻久美子(くみこ)さん。

 群馬県生まれ。1968年、東京大経済学部卒。民間企業を経て、法政大大学院に入り近代日本文学を専攻。在学中に刊行した「若き北一輝」で単行本デビューした。右翼の巨頭のイメージが強かった北一輝の実像を実証的に明らかにした。また、現在を幕末と第二次世界大戦後に次ぐ「第三の開国」に当たるとして、日本の変革を論じた。日米関係や東アジア外交史にも詳しく、民主党政権では内閣官房参与も務めた。歴史や文学、思想史に精通し、著作や講演、テレビなどで幅広く活躍した。

 89年京都精華大教授、94年に麗沢大教授。95年に「近代アジア精神史の試み」でアジア・太平洋賞、2005年に「評伝 北一輝」で毎日出版文化賞司馬遼太郎賞を受賞した。ほかの主な著作に「開国・維新」(吉田茂賞)「評伝 佐久間象山」「明治天皇という人」「三島由紀夫司馬遼太郎」など。

 関係者によると、胃がんで闘病中だったという。
http://mainichi.jp/select/news/20141128k0000e040205000c.html

また、『産経』の記事;

松本健一氏死去に仙谷氏「悔しくて仕方がない」

産経新聞 11月28日(金)22時23分配信


 評論家で麗沢大教授の松本健一氏が死去したことについて、旧知の仲だった仙谷由人官房長官は28日夜、産経新聞の取材に応じ、「いろいろと相談も受けていたが、本当に悔しくて仕方がない」と突然の訃報に肩を落とした。

 仙谷氏は松本氏が左翼や右翼といったイデオロギーを超えた冷静な評論を展開してきたことに触れ、「健全なナショナリズムとは何かを必死に追い続けた人生だった。バランス感覚に優れ、素晴らしかった」と故人を偲んだ。

 松本氏は仙谷氏の政策ブレーンで、民主党政権時代に仙谷氏が内閣官房参与に起用した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141128-00000582-san-pol

松本健一といえば北一輝ということになる。北一輝に限らず、松本氏の著作は今後も日本近代の(非主流の)思想史を語る上で、重要な参照点であり続けるだろう。そういうこと多くの方によって述べられていると思うので、ここでは『挾撃される現代史 原理主義という思想軸』を敢えてマークしておこう。ここでいう「原理主義」というのは基督教神学や宗教学からすると、かなり問題含みなのだろうけど、松本氏のこのテクストによって、「原理主義」は基督教神学や宗教学だけでなく広く思想史や社会批評の言葉になったともいえるだろう。まだ雑誌連載中だった頃、後にイスラーム原理主義研究の第一人者になった大塚和夫先生*2が、今さ『朝日ジャーナル』で松本健一が「原理主義」について書いてて、ちょっと変だけど面白いよ、と言っていたのを思い出した。