- 作者: 菊盛英夫
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1990/08
- メディア: ハードカバー
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家に置いてあった菊盛英夫『昭和交情記 はぐれ学者の履歴書』(河出書房新社、1990)を読んだ。中野孝次*1が跋文(「多彩なる人間交遊」)を書いているのだが、その中で、
と述べている。この本を読んだ人は、誰でも中野と同様なことを感じてしまうのではないか。旧制富山高校時代(退学期間中も含む)だと、大間知篤三(後に民俗学者)、中野重治、井汲卓一(後マルクス経済学者)、 山上伊太郎(映画脚本家)など。東大時代だと、岩崎昶(映画評論家)、藤本真澄(映画プロデューサー)、高見順、大宅壮一など。さらに、瀬木博尚(博報堂社長)、高橋新吉(詩人)、高野岩三郎(統計学者)など。戦後の中央大学文学部を巡る人々では、辰野隆、片山金章(民法学者、1950年当時の中央大学法学部長)、吹田順助(初代中央大学文学部長)、高橋義孝*2、高橋健二、吉田健一など。
(前略)わたしにはこの交遊の幅のひろさ、人物の多彩さは、まさに羨望すべきものに見えた。なんと多彩な交遊がそこにあることだろう。左翼運動家、政治家、文士、ドイツ文学者、映画人、俳優、ジャーナリスト、画家、詩人−−一個の人間が生涯に付合いうる人物としてはおそらく最多と言っていい人たちがそこには登場する。しかもみな生きてゆく上で密接な関係を持った人として。これは驚くべきことである。(p.214)
この1909年生まれの独逸文学者の本を何冊かは読んでいる筈だと、ずっと思っていたのだが、巻末の「著訳書目録」をチェックしたところ、1冊も読んでいなかったことに気づいた。
さて、かなり以前読んだ竹田篤司『明治人の教養』(文春新書、2002)。1934年生まれの著者によるこの本は、帯には「日本的「教養」は/いかにして生まれ/何故に滅んだのか」という宣伝用の惹句が打たれているのだが、(明治生まれの)近代日本知識人に関する世間話集という趣を持つ。目次を掲げておく;
1 小島政二郎と「明治の人間」
2 柳田国男と「明治的統一」
3 『チャタレイ夫人の恋人』を読む西田幾多郎
4 君山と寸心 「読書人」vs「思索者」*3
5 河上肇と「味噌汁の身」
6 森外三郎と京都一中
7 リーダー・今西錦司の原点
8 「二代目」桑原武夫の客気
◆ 《インテルメッツォ》西と東
9 キーパーソン・狩野亨吉
10 ケーベルと漱石の間
11 「アンバイヨクナル」安倍能成
12 「長身:美貌・etc」vs「正反対」の九鬼・天野*4
13 辰野隆と福原麟太郎 「過去」と「現在」の微妙な関係
14 「教養」は時代を超えるか
あとがき
引用参考文献
- 作者: 竹田篤司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/12
- メディア: 新書
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