木村正人「貧しくなる資本主義 アマゾンの人間オートメーション」http://blogos.com/article/57280/
アマゾンの英国スタッフォードシャーの「配送センター」をジョージ・オーウェルの『1984年』に喩える。それを言うなら、チャップリンの『モダン・タイムズ』だろう。またオートメーションと労働ということで、昔読んだ中岡哲郎『人間と労働の未来』という本を思い出したりもする。木村氏は100年前の北アイルランドの造船所に言及しているが、オートメーションということで誰もが思い出すのはヘンリー・フォードであり、テイラー・システムだろう。オートメーションというのはフォーディズム*1という経済体制と関連している。木村氏は「貧しくなる資本主義」というタイトルを掲げているのだが、皮肉なことに、フォーディズムは(福祉国家とも相俟って)或る種の〈豊かになる資本主義〉(?)を基礎付けたといえる。1970年代から80年代にかけて、大量生産・大量消費のフォーディズム体制の危機、ポスト・フォーディズムへの移行が語られるようになった。そして今になって、フォーディズムが回帰しているということになる。但し、その方向性は(少なくとも労働者階級にとっては)かつてのフォーディズムとは逆向きである。これはポスト・ポスト・フォーディズムというべきなのか、それともネオフォーディズムというべきなのだろうか。フォーディズムに言及した序でに、山田鋭夫『レギュラシオン理論』、それから柄谷行人『世界共和国へ』をマークしておく。また「本社では製品の設計とマーケティングに徹し、生産は低賃金の中国など新興国・途上国に移すのがグローバル時代の典型的ビジネスモデルだ」ということに関しては、「資本のフレキシビリティ(柔軟性)の回復」(p.141)としてのグローバル化を論ずる伊豫谷登士翁『グローバリゼーションとは何か』(p.140ff.)も参照されたい。
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