Buddhism: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)
- 作者: Damien Keown
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr (T)
- 発売日: 2000/06/15
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Damien Keown Buddhism: A Very Short Introduction*1からメモ。
西洋では(東洋でも?)仏教はいったい宗教なのか、哲学なのか、「生活様式」なのか、それとも「倫理的コード」なのかという議論がある。そうした議論の是非はともかくとして、〈アブラハムの宗教〉を基準とした宗教論には仏教その他の宗教はぴったりとフィットしないということは事実である(pp.3-4)。そこで、Keown氏はスコットランドの宗教学者Ninian Smartの「宗教の7つの次元(the seven dimensions of religion)」という枠組を紹介する(pp.4-5)。「7つの次元」は、
practical and ritual dimension
experiential and emotional dimension
narrative and mythic dimension
doctrinal and philosophical dimension
ethical and legal dimension
social and institutional dimension
material dimension
用語の註。「神話(myths)」は”stories which have a compelling force by virtue of their ability to work simultaneously on several levels”(p.7) また、「教理(doctrine)」とは”the systematic formulation of religious teachings in an intellectually coherent form”(p.9) 6番目の「社会的・制度的次元」は宗教共同体や教団組織に関係する。7番目の「物質的次元」は宗教の物質的表われ、例えば宗教建築、宗教美術、聖地、また(物体としての)経典。
〈近代仏教学〉*2に直接的・間接的に感化された日本のインテリ及び亜インテリにとっての仏教(宗教)理解は「教理的・哲学的次元」に偏っているといえるし、一般人にとっての仏教は主に「実践的・儀礼的次元」(例えば、葬式や現世利益)に集中しているといえるだろう*3。新宗教系の信者にとっては「倫理的」次元がフォーカスされる。オウム真理教の場合、「片仮名仏教」によって亜インテリの「教理的・哲学的次元」へのコンプレックスを刺戟するとともに、(幸福の科学を除くポスト高度経済成長期教団には概ね共通することだが)「体験的・情動的次元」を強調して世間の注目を惹き付けたといえる(難行苦行)。幸福の科学は「教理的・哲学的次元」への純化といえるか。そこでの宗教生活は大川隆法の本を読むことに収束してしまう。
ところで、〈小沢信者〉にとっての「7つの次元」は?
Ninian Smartについては、http://en.wikipedia.org/wiki/Ninian_Smartのほかに、
“Ninian Smart(1927-2001)” http://www.as.ua.edu/rel/aboutrelbiosmart.html
Richard Hecht “In Memorial: Roderick Ninian Smart” http://www.universityofcalifornia.edu/senate/inmemoriam/roderickniniansmart.htm
Scott London “The Future of Religion: An Interview with Ninian Smart” http://www.scottlondon.com/interviews/smart.html