承前*1
「『仏像と日本人』/碧海寿広インタビュー」http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/110098.html
少し切り取り;
――碧海さんはこれまで近代仏教史のキーマンである井上円了や清沢満之、近角常観などを論じています。そうした人々と仏像はあまり交差しないのでしょうか?
碧海:近代仏教史は、思想・哲学的な側面から振り返ると、浄土真宗と禅が非常に強いです。とりわけ真宗は圧倒的で、これは真宗関係者が近代的な学問にいち早く飛びついたからなど、様々な理由があるのですが、ともかくも、あげていただいたキーマンたちは、みな真宗関係者です。そして、真宗では聞法(もんぽう)と言って、言葉で伝えられる教えを学ぶのが第一で、仏像のような偶像はあまり重視しません。真宗のお寺や、門徒(信徒)さんの家の仏壇には、「南無阿弥陀仏」などの名号(みょうごう)が書かれた掛け軸が祀られている場合が少なくないです。仏像などのモノよりも、言葉を非常に大事にするわけです。
なので、思想系の近代仏教では、仏像との関係はあまり重要ではないです。ただ、これが面白いところなのですが、近代仏教の思想を導いた井上円了や清沢満之は、いずれもフェノロサから哲学を教わっています。その西洋哲学に基づき、仏教思想の近代化を進めていったのです。つまり、仏像を美術鑑賞するスタイルと、仏教を哲学的に再構築する運動は、どちらもフェノロサをルーツにしているわけです。日本の近代仏教は、基本的にフェノロサによってつくられた――などと言ったら、ちょっと陰謀論みたいですが(笑)、すごく大雑把な理解としては当たっている部分もあるはずです。
また、haruhiwai18氏からご教示;
――好きな仏像を教えていただけますか?
碧海:基本的に飛鳥・奈良時代の仏像が好みですが、なかでもやはり本の帯に写真を使わせていただいた、中宮寺の菩薩半跏像がベストですね。何度会いにいっても見惚れてしまいます。一度、元旦の午前中に訪れたことがあって、あまり初詣に行くという感じのお寺でもないので、参拝客がほかに誰もいない時間にお目にかかることができました 。これはもう至福の時間で、この時間が永遠に続けばいいのにとか、自分はこの瞬間のために生まれてきたんじゃないかとか、ロマン主義的な気分が爆発しました(笑)。今回の本にも、そういう得がたい感動から得られた見識が、ところどころで活かされているはずです。
haruhiwai18
"読んでみたいと思った。""碧海寿広氏は宗教学者で、近代仏教の研究家でああるようだ" →ちなみに、先生は密林の宗教書系の有名レビュアーでもあるそうな。http://naagita.hatenablog.com/entry/2016/12/26/021137。
2020/03/17 リスト
https://b.hatena.ne.jp/haruhiwai18/20200317#bookmark-4682998740350890306