五味文彦「阿波踊りから山野河海の活用史を考える」『UP』(東京大学出版会)456、pp.33-38、2010
「阿波踊り」というタイトルに反して、「阿波踊り」については、
というくらいしか叙述がない。
この三好氏の勝瑞城を中心とする城下町文化は、土佐の長曽我部氏により三好氏が滅ぼされた後は、近世大名として阿波に入ってきた蜂須賀氏による徳島城築城とその城下町の建設にともなって徳島へと受け継がれていった。その徳島の城下町に集まった人々によって行われた都市の祭りが阿波踊りである。
当初は町組を単位に行われており、その源流は勝瑞城下で始まった風流踊りにあったろう。風流踊りは戦国時代に京を中心に広がった熱狂的な踊りである。しかし近世も半ば過ぎになると、阿波踊りは連という集団をつくって通りを踊ってゆくものへと変化してゆき、現在の形につながってゆくのである。(p.38)
ただ、菅直人も行った四国遍路について*1、現在の88の霊場が確定し・民衆的に拡がったのは意外と新しく、江戸時代のことだということがわかって、興味深かった。承応2年(1653)の澄禅著『四国遍路日記』に88の寺が挙げられ、貞享元年(1684)に真念が『四国遍礼道指南』を著し、遍路の心得を詳述した(p.34)。勿論、弘法大師空海が讃岐で生まれ、また高野山のある紀州から阿波までは紀伊水道を通ってすぐだということもあり、早くから阿波には高野山の荘園が置かれ、また真言僧の修行の場ともなっていたわけだが。
昔読んだ〈巡礼〉に関する本としては、星野英紀『巡礼――聖と俗の現象学』、真野俊和『旅のなかの宗教』があるのだが、どちらも四国遍路への言及はある。
- 作者: 星野英紀
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旅のなかの宗教―巡礼の民俗誌 (1980年) (NHKブックス〈364〉)
- 作者: 真野俊和
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