ビルマの「韓流」(メモ)

アジア海賊版文化 (光文社新書)

アジア海賊版文化 (光文社新書)

承前*1

土佐昌樹『アジア海賊版文化』からのメモ。
土佐氏は「ミャンマーにおける韓国ドラマ」の人気の要因を三点に要約している(pp.168-170);


a)「描写力の卓越さ」
b)「情緒の近さ」――但し、「情緒が近いからドラマに引き込まれやすいのか、あるいは逆に作品として優れているから見る人の感情移入を誘うのか」はわからないという。
c)「モデルとしての側面」――「これには、人生の指針というごく真面目なモデルとして受け止める人から、都市的なライフスタイルの参考やファッションのマニュアルとして捉える人まで、さまざまなレベルがある」。


また曰く、


日本においてもミャンマーにおいても、韓国ドラマに夢中になり、韓国人の俳優に熱を上げるという現象は、ある「飛躍」を意味する。東南アジアでは一般に韓国に対するイメージは否定的なものが多く、ミャンマーにおいても韓国人といえば粗野で排他的というイメージが支配的であった。日常的な交流がない分、観光客のマナーの悪さや、労働者として韓国に滞在しているミャンマー人への虐待のニュースが、韓国に対するイメージのすべてであった。しかし、韓流の到来ですべてが変わった。ドラマの中には発達した社会に住み、自分たちと「同じ感情」を持つ人間がいた。(pp.172-173)